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️✒️正宗白鳥 vs 志賀直哉 「いま全集買うなら志賀直哉だな」と正宗白鳥は言った

---- たくさんの人とお付き合いになって一番尊敬できる方は・・・
・。
正宗 一人もいない。(笑)まあ、内村鑑三は尊敬していた。今はそうじゃないけどね。
---- 近松秋江と岩野泡鳴と一番なかよくして、本人をよく知っておられるんじゃないですか。
正宗 岩野はいい人だが、秋江はいやだ。同郷で同じクラスだから話をすれば面白いが、人間としては嫌いだった。無責任だし、あいつと事を共にすべきじゃないと思っていた。けれども、書いたものはいいですよ。書いた物は認めてやったんだけど、やはりなんとなしに藤村だな。小説がうまいわけじゃない。下手ですよ。それやァ秋声のほうがうまいが、下手なところをねちねち執念深く世渡りを考えて、人間の生活の参考になるのは藤村だな。
----世渡りをあんまり考えるので藤村を嫌ってる人もいますね。
正宗 だから一方で藤村は非常に嫌われる。そういうところがあるよ。その批評は合ってる。それだから一方でまた面白いんだな。いま全集を買おうと思えば、ぼくは志賀直哉と永井荷風の全集を買う。それから鴎外の翻訳全集、二葉亭の翻訳全集、谷崎のはつまらん物が多い。晩年にかけてある種類の物はいいと思う。たとえば「春琴抄」「少将滋幹の母」がいいな。「八月十五夜」をこの間読んで非常に面白いと思った。昭和三十二年


白鳥なくなる五年前、文士を追うのは死人を追っているのと同義になる。白鳥の文学観が垣間見える。明治時代の雰囲気が垣間見えるし、三時代を生きて達者だった、すでに昭和がそういう時代になりつつある。

これも出典探し中だが、たぶんなんかの月報だったと思う。

戯作派と白鳥

いまではこういうくくりしなくなったが、シャボン玉ホリデーみたいなくくりで大正作家が座談会してて白鳥小林秀雄をくさしている。出典は太宰のぼろい全集だったが、手元になくなってしまったので、今度探しておく。

平野 坂口さん、白鳥はどうですか。
太宰 白鳥は徹頭徹尾嫌いですね。なんだいあれは・・・ジャーナリストですよ。あれはただ缶詰を並べているだけで・・・牛缶の味ですよ。
織田 小林秀雄というのは白鳥に頭があがらない。
坂口 しかし読物の面白さはもっている。僕そう思うね。
太宰 それを思想家だの何だのと言っているけれども、ちっとも僕は・・・。
坂口 一種の漫談家ですよ、徳川夢声と同じもので・・・しかし読物としての面白さはもっている。
太宰 文章はうまいからな。
坂口 僕は徳川夢声を好きだが、好きというのは読物として・・・徳川夢声、正宗白鳥、獅子文六、これは読ませる力をもっている。
太宰 村松梢風なんか・・『残菊物語』。
坂口 僕その三人は同じジャンルだと思う。これはしかしそう馬鹿にする必要はないだろう。それはそれでいいだろう。やはり一つの読物としての力をもっているということは・・・。
平野 あの手管はたいしたものだ。とにかく読ませる。
坂口 大したことでもないけれども、高座の円朝とか、浪花節の大家とかいうのと、それは君、同じものだよ。

徳川無声がわかんないが、今聞いたら誰でも死んでるから立派にうつるがなジャンルに貴賤はない


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