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🖊谷崎と西鶴

谷川 谷崎さんは西鶴をいつ頃お読みになったんですか。
谷崎 大分あとですね。幸田露伴さんが「井原西鶴」を書いたでしょう。あれを読んでからだな。それから、さっき言った小学校の先生、この人は非常に謹厳なんだけれども、西鶴のことやなんか、教えてくれました
谷川 西鶴が明治以後に高く言われるようになったのは、やっぱり露伴さんの・・・。
谷崎 いや、一番最初は「小説神髄」の中か何かにあるんじゃないですか。僕は「小説神髄」を読まないけれども・・・。

---この間、青野先生にお会いしたとき話が出たんですが、志賀先生の文体には西鶴が
谷崎潤一郎 ああ、西鶴は入ってる。
志賀直哉 好きだからね。別に学んだというつもりはないけれども、好きだったね。
谷川 西鶴の文体の影響が出てくるのは、すこしあとからじゃありませんか。初期からじゃないでしょう。
志賀 西鶴というものは、ある時代には読んじゃいけないものだ、という気がしてたんだよ。その頃は内村鑑三さんの所なんぞにいっている頃だからね、誘惑になるというんでね。ところ虎の門の近くの骨董屋に西鶴全集が二冊あったんだよ。

読んだ当時と違って、今読むと谷崎は小説家というより石ノ森章太郎みたいに見える。そうするとここで出てくる西鶴は北斎みたいなもんで、戦後で海外で見直される。


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