短い思い出話

感動したマジで

大学受験期、母の知り合いで英語を教えてくれるというおじいさんと会ったことがある。

その人は元々外務省で働いてた人で、
「英語はまあこのへんでいいか。
 なにか聞きたいことはあるかな?」
と言ってきた。

それまで何の話をしていたか忘れたけど、
とにかく見識の深く広い人でとても興味深い話を沢山聞いた事だけは覚えている。

そこで私はずっと気になっていた質問をした。

「世界の覇権がイギリスからアメリカに移ったのは何故ですか?」

その頃私は戦争シュミレーションゲーム「Hoi」の実況にハマっていて、イギリスが世界で最大の国だった時代をよく目にしていた。それでかねてから思っていたのだ。

こんなに強い国が急にアメリカに負けたのは何故だろう。やはり土地の広さか?
でもアメリカは未開拓地だったのに……。

彼は即答した。
「あぁ、それは簡単で、お金持ちがイギリスからアメリカに移ったからだよ。」

実に当然そうに言われた瞬間、私は多大なる感銘を受けた。こんなにもわかり易く端的に、本質を捉えた回答を一瞬で出せるものかと。

あぁ、そうか、確かにアメリカで覇権を握っているのはアングロサクソンで、彼らはゲルマン系の言わばイギリス人ではないか。

彼は一言でさらに、「権力は土地につくものではなく金につくもの」ということも説明してみせた。

ああ、そうか、そうか、大感動。

おじいさんは続けて色々な解説をしてくれて、それも全部わかり易く面白く、一言一言から出る知識の深さが私を圧倒した。

頭が良いとは、見識が深いとはこういう事を言うのか。


こうなりたい、と今も強く思っている人間だ。

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