見出し画像

DTM / DAWコンプレッサーの方式と特性を知ろう!第1回:アナログをシミュレートしたコンプレッサー(前編)

どうもマイコンです。DTMで使用するコンプレッサーには VCAコンプ、FETコンプ、Opticalコンプ、Variable-Muコンプ、Digitalコンプ、Multibandコンプ、Low-Levelコンプなどなど、さまざまな種類が存在しています。これらのコンプレッサーの特性を理解することで、適材適所なコンプレッサーのセレクトが可能になり、ミックスやマスタリングのテクニックがグレードアップすることでしょう。WAVESから発売されているコンプレッサーを例にご紹介しますので、音楽制作のご参考にぜひお役立てください!

第1回:アナログをシミュレートしたコンプレッサー(前編)

多くのDTMプラグインは伝統的なアナログ機器の特徴をシミュレートしていますので、アナログ・コンプレッサーの効果的な使用方法を知っておくとミックスに役立ちます。前編ではVCA、FET、PWM方式についてご紹介します。

VCA コンプレッサー

VCAは「電圧制御増幅機:voltage-controlled amplifier」の頭文字をとったもので、このタイプのコンプレッサー回路の中心にあるコンポーネントです。VCAコンプレッサーは、ユーザーが設定したスレッショルド以上のピークに反応します。VCA コンプレッサーはレスポンスが速いことで知られており、ダイナミクスレンジが非常に大きい楽器やトランジェント成分の多い素材に適しています。

多くのVCAコンプレッサーの設計では、スレッショルド、レシオ、アタックとリリースの時間、メイクアップゲイン、場合によってはニーを含む幅広いコンプレッションパラメータを正確にコントロールすることができます。この豊富なコントロールのおかげで、VCAコンプレッサーは汎用性の高いダイナミクス・プロセッサーとなっています。設定の仕方によっては、VCAはオリジナルのトーンやハーモニック特性に透明感を持たせることも可能です。

効果が出やすい用途

  • ドラム、パーカッションなどのトランジェントの圧縮

  • パンチの追加

  • バスコンプレッション(マスターやサブグループ)

  • 非常に汎用性が高いので、好きなソースに使える

  • ボーカルや楽器演奏のダイナミックレンジを制限して、トランジェントを押しつぶさずにピークを滑らかにすることも可能

効果が出にくい用途

  • 温かみを出したり、色をつける

透明感を出すためには、アタックを速く設定しすぎないことが重要です。スレッショルドを低く設定しすぎたりレシオを高く設定しすぎたりすると、ピークよりも圧縮された潰れた音になってしまうことがあります。それだけでなく、VCAは圧縮しすぎると歪みを引き起こす可能性があります。

dbx 160 compressor / limiter

dbx 160 compressor / limiter

VCA式コンプの元祖
Waves dbx 160 compressor / limiterプラグインは、Wavesがdbxと共同で開発、歴史に刻まれたハードウェアのサウンドを、ソフトウェアでそのまま再現することに成功しました。ヴィンテージ・コンプレッサーを丁寧にモデリングしただけではなく、MSマトリックス、ミックスとノイズのコントロール、ステレオのコンポーネントなど、オリジナルのハードウェアにはない、ユニークなプラグインだけの機能が追加されています。Waes dbx 160は、スタジオでもライブでも、必須のコンプレッサー/リミッターとなるでしょう。

オリジナルのdbx® 160は、1970年代の他のコンプレッサーと比べ、非常に歪みが少なくクリーンなサウンドで、特にドラムのコンプレッサーとして評価されてきました。入力信号に素早く反応するdbx 160コンプレッサーは、70年代から80年代にかけて、メジャーなレコーディング・スタジオで必ず目にする機材となりました。このdbx 160の後継機種は、より多くの分野で使われるようになり、業界標準のコンプレッサーとなりました。



SSL G-Master Buss Compressor

SSL G-Master Buss Compressor

SSL 4000 Series-Gコンソール そのバス・コンプレッサーを細部までモデリング

SSL G-Master Buss Comp SSL 4000 Gコンソールのマスターバス・センター・コンプレッサーをベースに、Solid State Logicとの共同開発により誕生したのがWaves SSL G-Master Buss Compressorです。実機のコンソールで採用されていた、IC入力と2つのVCAゲインリダクション・アンプによるユニークなサウンドまで再現しています。

ピアノのダイナミクス調整、ドラムやパーカッションにパンチを加えるといった処理。そして多くのエンジニアに愛された、SL 4000 Gならではのトラック同士の"一体感"を生み出すその効果まで。数々の歴史的な名盤で聞くことのできる銘機のサウンドが、ソフトウェアで再現されます。

SSL 4000 Seriesについて
Solid State Logic社の4000 Seriesアナログ・ミキシング・コンソールは世界中で求められています。ポップ/ロックミュージック、放送の送信やテレビのポストプロダクションに従事するエンジニア達はトレードマークであるSSLの「パンチがある」サウンドと同じくらい、SSL 4000のフレキシブルなダイナミクスチェーンを高く評価しています。WavesとSSLのエンジニアはクラシックなSSL 4000 Series EとSeries Gのサウンドキャラクターを再現するため、1年以上も共同作業を行いました。とにもかくにも、このコンプレッサーはサウンドプロフェッショナルのほとんどが知っている、トラックのまとまりがしっくり来る優れたコンプレッサーです。



API 2500

API 2500

本家API公認のオフィシャルプラグイン

API 2500はAPIパンチ感とAPI独自のトーンを得られる、ダイナミクス・プロセスツールです。デュアルチャンネル・デザインにより、API 2500は1つのコンプレッサー設定で2つの独立したモノ・チャンネルとして動作させることもできます。

世界中のエンジニアを虜に
オート・メイクアップゲイン機能を備え、スレッショルドやレシオを調整しても自動で一定の出力レベルを維持するため、コンプレッションによるサウンド変化を冷静に判断することができます。さらに世界中のエンジニアを虜にした「feed back」と「feed forward」2つのコンプレッションタイプが、驚くほど幅広い、音楽的なキャラクターを生み出します。



BSS DPR-402

BSS DPR-402

80年代を代表する、コンプ/リミッター/ディエッサーの名機

12のモードを組み合わせて多彩なダイナミクス処理が可能 BSS® DPR-402ダイナミクス・プロセッサーは、そのパンチ感と多様な用途に対応する万能さから、長きにわたりスタジオ、ライブ、ブロードキャストの現場でエンジニアに重宝されました。その瞬発力あるサウンドは、80年代のダンス、ヒップホップ、ロックの数えきれないヒット曲に使用されています。

精密にプラグインで再現された定番プロセッサー
BSS Audioとの共同開発により、Wavesは今まで入手の困難だったオリジナルのDPR-402ユニットを精密にモデリング。その多彩な機能とサウンドを細部まで再現するにとどまらず、より柔軟にしかも簡単に使用できるよう、いくつかの追加機能も実装しています。

BSS DPR-402は実直なコンプレッサー、リミッター、ディエッサーとして個別に用いることもできます。しかしこのユニット独自のカラーは、これらの機能を組み合わせたり、特定のオーディオ帯域のみを選択して他のバンドをそのまま残して処理することで発揮されます。用途の可能性は無限にあり、低域に特化したエクスパンダーや、狭くピンポイントに狙った帯域のコンプレッション、ダイナミックEQとして利用するなど、驚くほどの効果を生み出すことができるでしょう。



EMI TG12345 Channel Strip

EMI TG12345 Channel Strip

歴史的な名機TG12345をプラグインとして復活

細心の注意を払ってコンソールの各コンポーネントをモデリングしたWaves/Abbey Road EMI TG12345チャンネル・ストリップ・プラグインは、入力段のマイクプリアンプから、回路を通じて生じるハーモニック・ディストーション、ハム・ノイズ、ベースとトレブルのEQバンド、コンソールのグループ/メイン・セクションのプレゼンスEQ、豊かなサウンドを生むスプレッダーまで、オリジナルのコンソールのよく知られた機能を余すところ無くキャプチャーしています。なによりもこのコンソールの有名なコンプレッサー/リミッターは、特徴的な心奪われるサウンドを生み出します。 このプラグインでは、ONE、実際にモデリングされたMK Iデスク、最終モデルのMK IV、これらのTG12345シリーズのすべてのモデルを再現できるよう、ルーティングの選択が可能になっています。 コンソールに元々備わっていた機能に加えて、コンプレッサーのサイドチェイン入力のハイパス・フィルター、簡単にパラレル・コンプレッションとリミッティングが行えるよう、ダイナミクス・セクションのミックス・コントロール、ドライブ・コントロールなど、現在のミキシング環境に合わせた機能も追加されています。

TG12345は、スタジオでのトラッキング、ミキシング、マスタリングの段階はもちろん、ライブでも、オールマイティーに活躍します。個々のチャンネルにインサートするほか、マスター・バスにも最適です。Waves/Abbey Road EMI TG12345はミックスに美しいコンプレッションと、印象深く明るい、まさに本物のクラシック・サウンドと言えるリッチなサウンドをもたらします。



FET コンプレッサー

FETコンプレッサーはVCAと同様に半導体を使用していますが、「電界効果トランジスタ」と呼ばれる特殊なコンポーネントを使用しており、VCAよりもさらに高速な反応時間を実現しています。多くのFETコンプレッサーにはスレッショルドコントロールがありません。適用される圧縮の量は、入力信号の振幅と入力レベルコントロールの設定の組み合わせによって決まります。入力が大きくなればなるほど、圧縮される信号は大きくなります。

FETコンプレッサーはサウンドに独特のキャラクターを与えます。おそらく世界で最も有名なFETコンプレッサー、Urei 1176 は何千もの名盤で聴かれており、ボーカル、ドラム、ギターなどに最適なアグレッシブで高速なコンプレッションを提供しています。

効果が出やすい用途

  • ボーカル、ドラム、ベース、ギターなどにアグレッシブなサウンドを加える

  • アタックが速いためリミッターとして使用

  • アグレッシブに潰したサウンドを原音に混ぜて使うパラレル・コンプレッション

効果が出にくい用途

  • 透明性を求めるコンプレッション

CLA-76

CLA-76

心地よい歪みと、コンプレッション

CLA-76 Blacky / Bluey は、60年代半ばに発売されたクラスAラインレベルリミッターアンプの異なる2つのバージョンにインスパイアされています。"Blacky"と"Bluey"の両バージョンも、オリジナル機と同様にスタジオの伝説となった超高速アタック(最速50ミリ秒!)を提供します。もちろんオリジナルの"ボタン全部押し"モードを再現する独自の"ALL"コントロールと、モデリングされたプリアンプの歪みにより、想像を超えるパワフルなドラムサウンドを作り上げることも可能です。

最も人気の2つのリビジョンを用意
CLA-76は、音楽史上最も有名なソリッドステートのコンプレッサー/リミッターの1つで、ゲインコントロールにFETを用いたユニークな製品をモデルとしています。当時、約8,000台が製造され、少なくとも13回の改訂が行われました。Wavesはその中でも特に評価の高い2つのリビジョンをモデリングしました。

■リビジョンB:クリスの個人的なお気に入りのリビジョンB。「Silverface Bluestripe」と呼ばれることもあります。モデルを使用してモデリングが行われました。

■リビジョンD-LN(ロー・ノイズ):ブラックフェイスとも呼ばれるリビジョンD-LN。76と呼ばれるコンプレッサーの中でも最も有名なバージョンは、このリビジョンD-LNでしょう。

この2つのリビジョンの主な違いは、ゲインステージとタイム・コンスタンス(アタックタイム/リリースタイム)、そしてTHD(トータルハーモニックディストーション)とノイズレベルです。CLA-76ではオリジナルのプリアンプのノイズまでもモデリングされています。


PWM コンプレッサー

PWMは「パルス幅変調:pulse width modulation」の頭文字をとったもので、パルス幅変調とは、オンとオフの値を持つ高周波のパルス信号を利用して信号の振幅を制御する信号処理方式です。PWMは信号を分割して一部分をミュートすることで信号の平均振幅を減少させ、パルス波の「ON」値が長いほど結果として得られるサウンドは大きくなります。PWMコンプレッサーは、正しく設計された場合には最も歪みの少ない美しいコンプレッションを提供します。

効果が出やすい用途

  • 歪みが小さい

  • 非常に高い透明性

効果が出にくい用途

  • 温かみを出したり、色をつける

Kramer PIE Compressor

Kramer PIE Compressor

史上最高のバスコンプレッサーの1つ、Pyeコンプレッサーの精密なモデリング

伝説的なプロデューサー/エンジニアであるEddie Kramerと共にWavesが開発したPIE Compressorは、LondonのOlympic Studiosで歴史的セッションの数々で実際にEddieが使用したものと同じ、ヴィンテージPyeコンプレッサーの精密なモデリングです。

クラシックロックの時代より英国スタジオにおける要であり、今も史上最高のバスコンプレッサーの1つであると多くの人に称賛されているPyeをモデリング。Waves Kramer PIE CompressorプラグインはVUメーターの非常に速いリフレッシュレートまでモデリングし、現実に存在するアナログメーターの精密さ、感度、動作を再現しています。

こちらの記事もご参考に
『サウンド&レコーディング・マガジン』2010年7月号:エディ・クレイマー監修の下ビンテージ機を再現したプラグイン・セット

サウンドスペシャリストのレビューやRock oNスタッフによるレビュー記事をご紹介! あなたのお悩みをWAVESが解決します!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?