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わたしと大瀧詠一。

好きなアーティストの中に、大瀧詠一がいる。
はっぴいえんどではなく大瀧詠一。
はっぴいえんども好きな方だけどそれよりも大瀧詠一のソロ。
細野晴臣もYMOも聴いたけど大瀧詠一のほうがはまった。

山下達郎も好きだからああいうのが好きなんだと思う。

初めて大瀧詠一を聴いたのは、小学校の頃だった。

幸せな結末。
テレビでみたの。
なんていい曲なんだ!と、信じられないくらいに感動した。
こんなにいい曲があるのか、と。

♪髪をほどいた君の仕草が泣いているようで胸が騒ぐよ

なんて小学生にはわからないはずの大人っぽい詩は、それでもテレビドラマやりぼんの漫画などで見ていた恋愛から、想像できる範囲の美しさだった。
ときめき、ではなく、胸が騒ぐって男性ぽい表現で尚且つ柔らかくていいなぁと思ったりした。

高校になってからいろんな音楽を聴き漁る中で、はっぴいえんどに出会い、大瀧詠一を思い出した。
お母さんに聞いた。
大瀧詠一めっちゃすきなんやけど知ってるか?と。
お母さんははっぴいえんどの方のファンだったと、教えてくれた。

やはりこの人の子なのだな、ということを思った。

それからは自分のプレイリストに大瀧詠一はレギュラー入りし、ふと思い出しては再生。
聞いてない時間の方が圧倒的に長いけど、たまに聴く。
柔らかくてゆるくていいなぁと思う。

そして最近、はっぴいえんどと大瀧詠一のいろんなエピソードを知る機会があり、君は天然色の歌詞は松本隆さんの亡き妹に向けられた詞だと知り、わたしは絶望した。

何も知らずに、大瀧詠一が恋人たちをイメージして書いた曲なんだと思い込み、大瀧詠一の曲から浮かび上がる景色を勝手に妄想しまくっていた自分を、とても恥ずかしく思った。


あたたかい春のちょっと花が咲いてるような公園で、白のワンピースが似合うよく笑う彼女と、インテリ系だけど恥ずかしがりやの彼氏が別れる時の歌、的な、そんなストーリーを浮かべていた、今までずっと。
笑いながらふるんだよそのかわいい彼女は、フフフ、と思っていた。

その妄想を頭の中でかち割ってやった。

私にも妹がいる。
我が子とはまた違う、可愛さがある。
よく喋る。
会うたび、顔にいつもお姉ちゃん聞いてとしつこく書いてある。

わたしには姉もいる。
姉に会う時は、私の顔にお姉ちゃん聞いてとしつこく書いてあるだろう。

姉は一度心不全になったことがあって、その一報が入った時に、わたしは姉が向こうへ行ってしまうことを少し考えてしまった。
あの日の、その、まさか、という感覚を忘れない。
まあ全然大丈夫だったんだけど。

大切な妹がなくなるというのは、想像してみただけで泣けてしまう。
死んでほしくない。


その気持ちが今、詞の意味を知った私の胸にダムの放流のごとく流れ込んでくる。
ずっと知らなくてごめんなさい。

今まで聴いてきた君は天然色の分だけ、ものすごくたくさん。

なんとなくこんなかんじなんだろうと思っていた君は天然色に、はっきりと色がついた日だった。
色をつけましたよ。

兄と妹では、姉と妹とは少し違うかもしれないが、愛情はまあ同じだと思う。

家族のことをこんなふうに可愛く表現できるのっていいな、と思った。

そしてまあこれも母の影響だけど、いとしのエリーもたしか桑田さんのお姉ちゃんの歌なんだっけか?

友達への愛情も、恋人への愛情も、家族への愛情も、なんだが、形が違うだけで、色や深みはそんなに変わらないのかもしれないと思ったりした。

逆も然り。
嫌いな人は家族でも嫌い、無理、でいい。



♪渚を滑るディンギーで
手を振る君の小指から
流れ出す虹の幻で空を染めてくれ

って

本当に大好きな人でないとそんな要求できないよね。
手から虹がでると思わせてくれる人。
いいなぁ。

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