ポンコツ天使の詩
魔法陣から私は浮上する。
呼ばれるのは本当に久しぶりだ。
”願いを叶える代償に命を奪う”という私の契約は、どうも最近の人間にウケが悪いらしい。
つい先日、後輩の悪魔からも、
「センパイ、それじゃ願い叶っても意味ナクナーイ?」
と言われた。言い方がなんかシャクに障ったので、悪魔的なアレで灰にしておいた。
最近の人間は軟弱だ。
たとえ命は尽きてもこの願いだけは!
とか、そういうのないのかよ。と思いつつも、200年近く召喚されていないという事実は私を焦らせるのに十分だった。
契約内容を変えようかと本気で悩んでいた時、首筋にキッと痛みが走った。それは200年ぶりの召喚要請の合図。
私は舞い上がっていたのだろう。本来するはずの召喚者の確認もせぬまま、現世に出現したのだから。
ソイツは背中から小さな白い羽を生やし、頭にはペカペカと頼りない光を放つ輪っかを浮かべていた。
そして一言、
「私、一人前の天使になりたいのです」
【続く】
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