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善悪の彼岸


絶望の咀嚼、苦悩の玩味、罪の嚥下──こうして悲劇は胃液に溶けていく。 

私は私自身の存在根拠として、すべての味を肯定する。 

私の美意識は闇の中で、それ自体として燦然と輝く。 

味わい尽くす舌と強靭な胃腸により、すべてが私の力となる。この前提において、もはや私には何一つ改めることがなくなる。創造への祈りによって、私は一片の陰りもなく、私の生を包み込む美へと超えていくのだ。 

私の生は全くの芸術として、善悪の彼岸で開花する。 

今や世界は闇の中にある。神は死んだのだ。 

しかし私は──私自身の太陽として輝く。私自身の神としてその生を悦ぶ。


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