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Hump Backに初めて会いに行った日の話

前回のnoteでは、僕がHump Backに出会った時の話を書いた。なので今回では、その後〜ライブに初めて行くまでの話を書こうと思う。

(前回のnoteはコチラ↓)

『hanamuke』を買ってからというものの僕はどんどんHump Backの音楽にのめり込んでいった。受験勉強の合間にAmazonでCDを注文して、気づいたら大体の音源が手元に揃っていた。好きという気持ちはすごいものだ。

受験期というのは孤独だ。誰かと自分を比べては凹む毎日。頑張っても上がらない成績。それだけでも辛いのに、僕はその時期に持病が再発して入院を余儀なくされた。別に不幸自慢をしたくてこの文章を書いている訳ではないことは明記しておくが、この時期は本当にキツかったのを記憶している。

そんな時期はピリピリして悲観的になったり、周りにキツくあたりがちになる。自分を一番応援してくれている両親にすら強い口調で物を言ってしまいそうになったこともあった。

しかしそんな時にこそ、隣の人に優しくしてみようと思い直したのは『ティーンエイジサンセット』のおかげだった。

辛い時でも周りへの感謝を忘れずにいられたのは、間違いなくこの曲のおかげだった。この歌詞に何度救われたことかわからない。

『悲しい街には虫が湧き 雨続きTシャツは生乾き
 こんなとき 隣の人に 優しくできたらとってもステキね』

そして、自分には到底見合わない無謀な挑戦をしてるんではないかと自分を嫌いになりそうになった時、自分を奮い立たせてくれたのはこの曲だった。

言いたい奴には言わせとけ!!どんな時もこの言葉を心に刻んでいた。座右の銘みたいなものだ。


僕の辛い時期にHump Backは音楽という形でいつも心に寄り添ってくれた。ここまではそんなお話。




そんなこんなで三月になり、受験が終わった。辛かった時期も終わり春がやってきた。まだ肌寒い中、心の中にはある気持ちが強く反芻していた。

Hump Backのライブに行きたい。

部屋でイヤホンから聴くだけじゃ物足りない。彼女たちが発する音を全身で浴びたい。そう体が欲していたのだ。ライブハウスなんかほとんど行ったことがないけどそんなことはもう関係なかった。

しかしHump Backは人気バンド。三月中にあるライブのチケットはほとんど売り切れてしまっていた。半ば絶望していたのだが、そんななか唯一チケットが残っていたライブがあった。


Dizzy Sunfistのツアーの広島公演。ゲストでHump Backが出演するらしい。

ゲストとしての出演ということは、Hump Backの演奏時間は短いだろう。それに、関東某県在住の僕にとって広島に行くのはあまりにハードルが高い。

しかし、そんな気持ちよりも、「Hump Backに会いたい」という気持ちが格段に上回っていた。気づいたらチケットを購入し、新幹線のチケットを手に入れ、宿も手配して広島に向かっていた。




新幹線に揺られたどり着いた広島。会場の広島クラブクアトロは商業施設の10階に入っているらしい。ホテルにチェックインして街をぶらぶらしていると日も暮れて来たので、急いで会場に向かう。

会場に着くと、もうすでに多くの人が列を成して並んでいた。訳もわからぬまま整理番号に従って並ぶ。

Hump Backのライブ。ずっと行きたいと思っていたがいざ観るとなると実感が湧かないものだ。なんの曲をやるんだろう。やっぱり『番狂わせ』とか、最近の曲をやるのかなあ。想像を膨らませていると開場時間になり、人がゾロゾロとフロアに入っていく。僕も慌てて跡を追って中に入る。そしてドキドキしながらしばらく待っているとフロアが暗転し、SEが鳴った。



SEが鳴る中出てきた3人は、MVやライブ映像で見る彼女らそのままだった。この人たち実在したんだ…と妙な感動を覚えていると、林萌々子(Vo,Gt)が切り出す。

「あの、うちらはユニバとか大好きで遊園地ほんまに大好きなんですけど…なんかここにDizzylandっていうさいっこうに楽しい場所があるって聞いてやって来ました!大阪 Hump Backです!」

そう言って始まったライブ。彼女たちが繰り出す爆音に身を委ねるのみの小一時間。今思い返しても、人生で一番幸せな時間だった。

いきなり#1『拝啓、少年よ』からスタートしたライブ。#2『ティーンエイジサンセット』#3『オレンジ』など、代表曲を主にどんどん繰り出して来て思わず体が動いてしまう。

そして「親友が振られた時に書いた曲」と林さんが言って始めたのが#4『ボーイズ・ドント・クライ』。『hanamuke』に収録されている、イントロのコーラスが印象に残る一曲だ。個人的にかなり好きな曲だったこともあり、思わずマスクの下で小さく口ずさんでしまう。

その次にはMCを挟み形で、林さんのギターコードに乗せた弾き語りが始まる。Dizzy Sunfistとの関係性に触れ、さらにいやま(Ba,Cho)が抜けた穴にサポートメンバーとして参加している山口メイ子(Ba,Cho)にも「サポートだとか、正規メンバーじゃないとか、そんな事は関係ない!この場にいる君にしかできないことがあるんだ!」とエールを送る。

そしてそのあとに披露されたのが#6『番狂わせ』。僕の鍛冶場の馬鹿力ソングと言ってもいい曲だ。さんざん元気をもらったこの曲をついに生で聴け、思わず心が揺れ動く。

その後も、『ACHATTER』収録のアップテンポなパンクロックチューン#7『HIRO』、代表曲の#8『クジラ』をテンポよく披露し、最後は#9『きれいなもの』で締めてライブは終わった。

SETLIST
1.拝啓、少年よ
2.ティーンエイジサンセット
3.オレンジ
4.宣誓
5ボーイズ・ドント・クライ
6.番狂わせ
7.HIRO
8クジラ
9.きれいなもの

後にも先にもこれ以上の感動を味わう事はないだろう。心の底からそう思える日だった。2022年はこの後各地のライブハウスにお邪魔することになったが、初めてのライブという補正も含めればこのライブがダントツで思い出深い。



いやはや、この記事を書いているのは2022年末であり、このライブがあった日から大分経過してしまったものの、自分の人生における大切な日をなんとか文字にしたためることができた。やはり思い出を具現化する作業は必要なのだ。うんうん。そういう口実で書いて来たこの記事も、この辺で筆を置かせてもらうことにしたい。

それじゃ。

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