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Hump Backと出会った夏


僕がHump Backに出会ったのは去年の高三の8月、ムシムシした暑い日の夜だった。


その当時の僕は受験生で、受験の天王山と呼ばれている夏休みがもうじき終わりそうな、そんな時期だった。受験期四六時中勉強ばかり。なんの楽しみもない受験期が余りに辛すぎて、僕はどうかしてしまいそうだった。

何のためにこんな毎日を過ごしているのか、何のために娯楽を捨てて勉強しているのかすら最早分からなくなっていた。

「もう本当に疲れた、ひとまず休もう」そう心の中で呟いて、気晴らしにYouTubeを開いた。好きなバンドのMVでも見ようと思ったのだ。

検索から好きなバンドの目当ての動画に辿り着き、満足した僕はもう寝ようかと思ったのだが、その下に聴いたことのないバンドのMVがおすすめで表示されていることに気がついた。


Hump Back。どこかで見たような名前だ。どこかで見たような…?

しかし僕はこのバンドの名前を見たことがあることをすぐに思い出した。先述の、自分の好きなバンドと対バンしていたことがあり、その告知か何かで見たのだ。そうだそうだ。せっかくだし聴いてみようと思い、軽い気持ちで再生ボタンを押した。

この瞬間が僕がHump Backに出会った瞬間だった。

再生してみるといきなりギターボーカルが歌い出す。

「君が泣いた夜にロックンロールが死んでしまった
 僕は飛べない」


どういう意味なんだろう。君というのは誰だ?恋人か何かなのか。その人が泣くとロックンロールが死んでしまうのだろうか。

聴きすすめながらMVを見ると、メンバー全員が映った。どうやらスリーピースで全員女性なようだ。いわゆるガールズバンドというものか。そう思った僕の予想は大きく覆されることになる。

曲が進むにつれて耳に入ってくる音は、ロック以外の何者でもなかった。意味があまりわからない歌詞だがリズムと一体化して頭にスッと浸透してきて、心地よいバンドサウンドに力強いボーカルに思わず聴き入ってしまう。「ガールズバンド」なんていう陳腐なジャンル分けはこのバンドの前ではなんだか無力に思えた。

とんでもない曲を聴いてしまった。そう思った僕は他の曲も聞こうとApple Musicで検索をかけたのだが、他の曲はおろか『星丘公園』すら出てこない。どうやらサブスクに曲をあげない主義らしい。仕方がないので、『星丘公園』が収録されているCDをAmazonで注文し、その日は眠りについた。


それから1週間ほどが経った頃。その日は朝から晩まで模試がある日だった。クタクタになって家に帰ると、Amazonから小包が届いていた。そう、あのCDが届いたのだ。

『星丘公園』が収録されている2nd mini album 『hanamuke』

早速封を開けて聴いてみる。

なんだこれ。

結論から言うと、全ての曲が最高だった。
一曲目の『星丘公園』から最後の『ゆれる』まで全ての曲を好きになってしまった。まさか、『星丘公園』を初めて聞いた時以上の衝撃を味わうとは。


こうして僕はHump Backに出会った。あまりにも最高なロックバンドとの出会いは受験期に唐突に訪れたのであった。

それからというもの、勉強の合間に他のCDをAmazonで購入し、より一層Hump Backを好きになっていった。僕の人生で一番辛かった時間を支えてくれたのは間違いなくHump Backだった。

受験が終わってから僕はついにHump Backのライブに行くことになるのだが、その話はまた今度書くことにして筆を置こうと思う。



初めてnoteを書いてみた。自分の中の感情や記憶を言葉に起こすのは難しいな。

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