「style」全曲解説 M1. Starting Over
この曲は、アルバムの1曲目に入れると最初から決めて作りました。
何事も第一印象が重要ですがそれは音楽でも同じで、リスナーの耳をしっかりキャッチしてアルバムに興味を持ってもらうための重要な存在が1曲目です。
勘違いされやすいのですが、アルバムを作ったりライブのセットリストを組むにあたって、序盤がアップテンポで後半はバラードでなければならないという法律はありません。
そんなもん好きなようにやればそれでいいんです。
ただ、一種のフォーマットとしてそういった形式が用いられることはやっぱり少なくなくて、アルバムの序盤がアップテンポであるというのは言ってみれば「お約束」みたいなものです。
「ロックやってるギタリストが作ったアルバムですよ」ということを開口一番に主張するためには、アルバムの頭にこういう曲が必要かなと思って、勢いを感じさせる力強い曲調に仕上げることは最初から意識していました。
タイトルは、冬目景先生の『空電の姫君』という作品より拝借しました。
バンド漫画なんですけど、主人公の参加しているバンドがとあるライブを大成功させてそれまでのスランプから脱却するんです。
そのシーンを描いた話が「Starting Over」で、原作では「再出発」の意味で用いられていると思うのですが、アルバムのトップバッターとしてこれ以上ないくらい似合うタイトルだったので拝借しました。
曲調も、ALTAGO(主人公のバンド)が演奏するとしたらこんな曲が似合うんじゃないか?とあれこれ妄想しながらデザインしました。
制作にあたっては
「勢い」
「情熱」
「負けない」
「見返してやる」
「今に見てろ」
などのワードをテーマとして採用し、ギタリストらしくギターリフから作りました。
リフに合わせて後からドラムを組んでいった感じなので、ギターがグイグイ引っ張っていって、つんのめりかけているような、そんな雰囲気の曲に仕上がったと思います。
ツインギターのハモリにもこだわりました。
バンドでもサポートでも、僕はギターをひとりで弾くことが多いのでツインギターには馴染みがないのですが、いつもやっていることをいつも通りに再現しても面白い曲にならないので、一種の挑戦として取り組んでいます。
とはいえ馴染みのないことをするわけですから方法論もよくわからず。
大雑把で恐縮なのですが、自分の中で「ツインギターと言えばこの人!」というイメージがKISSだったので、エースフレーリーの雰囲気を頭に描きつつ音を重ねていきました。
KeyはCmで、ふだん僕が扱わない音域なのですが、それゆえにレコーディングでは弾いていて新鮮で楽しかったです。
ちなみにCmを採用したのはKISSのイメージが頭にあったから。Detroit Rock Cityが元ネタです。
試聴には残念ながら含まれていませんが、冒頭のギターリフがザクザクとクリスピーな感じでとても気持ちよくてカッコいい爽快な曲です。
ツーリングとかドライブのお供に似合うと思います。
ギターについては、リフはテレキャスで弾いたと思います。リードは忘れた。たぶんRyogaとかじゃないかな?
後の曲の解説にも出てくると思いますが、今回ギターの歪はほとんどフルドライブとStrawberry Overdriveで録りました。アンプはマーシャルとフェンダーを曲によって、という感じです。
どの曲をどっちの歪で録ったかまではさすがに覚えてないけど、この曲に関しては音から判断するにフルドライブっぽいですね。フルドライブは距離感の近いテキパキとした発音が特徴だと思っていて、テレとの相性がとってもいいです。曲によってはレスポール×フルドライブ×フェンダーとかの組み合わせもあったはずだけど、逆にテレキャスを弾く場合は基本フルドライブって感じですね。
テレキャスとStrawberry Overdriveの組み合わせは、ほとんどないと思います。Strawberry Overdriveは解像度の高い深めの歪という感じなので、バッキングのパワーコードとかオブリで多用しているはずです。相性としてはレスポールとウマが合うみたいで、(サステインが)落ちずに乗り続けてくれるのが好きで使ってます。
Starting Overはアルバムの1曲目。下記リンクから試聴できるのでチェックしてください!
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