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本当に作っちゃう作曲講座note#1 【曲作りにおいて最も重要なこと】

 

 どうも。ジュンペイです。

 2月から、新たな試みとして「作曲講座」を連載することになりました。「講座」なんて堅苦しいものではなく、僕の経験や知識を共有するライトなものです。
 3月いっぱいまで週刊の連載です。難しい理論をなるべく使わず、すぐに実行に移せるような内容を心がけて書いていきます。また、実際に連載を通して一曲仕上げますので、曲がどの過程でどういう状態になるか、観察しながら読んで頂けます。初めての試みですが、きっと面白いと思いますよ。

 曲の作り方がわからない方、興味はあるけど何から始めればいいのかわからない方、そんな方々の参考になったら幸いです。

 無料連載なので、曲作りに興味がある方はもちろんのこと、そうでない方も、これを読んで音楽に興味を持って頂けたら、とても嬉しいです。


連載に至ったきっかけ

 僕は、音楽もコミュニケーションの一つと考えています。曲を作って発表することは、自分の想いや考えを言葉にして話すことに似ています。趣味でも楽器を演奏する人であれば、一度は自分のオリジナル曲を作ってみたいと考えたことがあるのではないでしょうか。僕自身も小学校5年生から独学でギターを始め、高校時代に曲作りの欲求に目覚めました。
 とはいえ、当然のことですが、曲など作りたいからと言ってすぐに作れるものでもありません。当時は、何をどうすればいいのか全くわかっていませんでした。本を買おうにも、どんな本を買えばいいのかわからなかったのです。作曲の参考書は音楽理論の知識がないと読めなかったし、かといって音楽理論の専門書を買い込む気にもなれなかったからです。
 そんな中、試行錯誤し初めて曲を作ってから10年以上が経ちます。その間にインディーズをはじめとする音楽活動を通じて少しずつ学び、今ようやく曲作りというものを何とか理解できています。そんな自分の経験が、これから曲を作ろうとする方々に少しでも役に立てたらという思いでこの連載を始めました。曲を作りたいという折角の素敵な想いを叶えるのに、10年も掛かるのは悲しすぎますからね。

 高校時代の僕が戸惑ったように、音楽理論をこの連載でガッツリ解説することは避けます。とはいえ、理論を全く抜きにして作曲をすることは難しいため、折に触れて音楽理論も紹介できたらと考えています。あくまでも、作曲のための理論という立場を忘れず、理論をただ解説するだけにならないよう気を付けながら頑張って書いていきますよ!

 よろしくお願いします。

※2021年1月から連載していた「放課後ギター倶楽部」は、一旦休載します。


連載の流れ

 以下のような流れで、3月いっぱいまで連載する予定です!

【2/8 ①どんな曲にしたいか?】
・まずはテンポを決めよう
・主役を決めよう
・使いたい楽器を決めよう
・構成を考えよう
・設計図を記録に残しておこう

【2/15 ②メロディを考える】
・ワンコーラスでも良い
・鼻歌を録音しておく
・正しくチューニングされた楽器で再現する

【2/22 ③コード進行を考える】
・メロディにコードをつける
・コードの拾い方、付け方
・構成/展開としてのコード進行
・ダイアトニックコード

【3/8 ④ドラムを考える】
・歌のリズム
・展開

【3/15 ⑤ベースを考える】
・ドラムのリズムと絡める
・コード進行を参照する

【3/22 ⑥その他のパートを考える】
・スケール
・トライアド

【3/29 ⑦まとめ】


本日2/8は、①どんな曲にしたいか?について書きます。



①どんな曲にしたいか?

 曲作りで最も大事なことは何でしょう。良いメロディを考えること。お洒落なコードで目立つこと。高音質で録音すること。レコーディングでミスなく完璧な演奏をすること。。。等々、たくさん思い浮かびますが、最も大事なことは、どんな曲を作りたいのかハッキリさせておくことです。
 特にギターという楽器はある程度やれば何となく弾けてしまうものなので、何となく作っていったらなんとなく曲っぽくなることもよくあります。これが実は落とし穴で、何となく作っていくうちに別なアイデアを思いついて、なんとなく試しているうちに何をやりたい曲なのかわからなくなってしまうんです。これでは、説明書を見ずにガンプラを作っているようなものです。家を建てるのに設計図を書いていないようなものです。シンプルなことですが、どんな曲を作りたいかをハッキリさせておくのはとても重要なことなのです。

 どんな曲、というのも出来る限り具体的なイメージである必要があります。単に「ロックな曲」と言っても、何をもってロックと定義するかによって方向性が変わります。アップテンポなのかスローテンポなのか、メジャー調なのかマイナー調なのか、フィーチャーされる楽器は何なのか、サビから始まるのかAメロから始まるのか、イントロはあるのか、キーはどのくらいか。この辺りは最低限、考えておきたい要素です。ここで考える要素が曲全体の設計図となる為、できるだけ細かく具体的に考えておきましょう。ここでは「ロックな曲」を作ると仮定して、目次に書いた4つの要素(テンポ、主役、使いたい楽器、構成)についてそれぞれ説明します。


まずはテンポを決めよう

 BPMという言葉を聞いたことがあるでしょうか?Beats Per Minuteの略(←覚えなくていいです)で、これは1分間の拍数を意味する指標です。BPM=60なら、1分間に60拍数える速さ、BPM=120なら1分間に120拍数える速さを意味します。曲の速さはテンポによって決まるので、テンポが曲の全てを握っているといっても過言ではありません。実際に僕も曲を書くときには大まかにテンポを決めるところから始めます。「大まかに」というのは、作ってみてイメージと違ったら後で微調整をすることもあるという意味です。最初にイメージしたテンポに沿って曲作りを進めていくため、後に大きくテンポを変えてしまうとイメージが変わり曲が崩壊します。そうなると最悪の場合お蔵入りという悲しい事態に繋がるので、テンポは予めしっかりイメージしておきましょう。
 テンポを考えるうえで役に立つのはやはりメトロノームでしょうか。最近は無料で使えるスマホアプリも多いので、最初はそういったものを利用するのも良いと思います。

その際に基準となるBPMを決めておいてそこから調整するのがおススメです。僕の場合は

アップテンポ→BPM=130
ミドルテンポ→BPM=110
スローテンポ→BPM=80

を基準にしてそこから探すことが多いので、初めての方は参考になさってみてください。


主役を決めよう

 歌モノの主役ってボーカルじゃないの?って思われそうですが、ここで言う主役というのはパートではなく「目立たせたいポイント」のことです。要するにどこで印象付けるか、ということですね。歌のメロディを個性的なものにしたいのか、スリリングで印象的なリフを作りたいのかによってその後のイメージも変わってきます。とはいえ、ここで考えすぎると先に進まなくなるので、大まかなイメージでOK。たとえば何の考えも無しに何となくリフを作ってしまうと印象がボヤけてしまうので、後でアレンジするときに「何のために」を考えられる指針の意味で主役のイメージを持てるようにしておきましょう。この点に関しては3/22の【⑥その他のパートを考える】で詳述します。



使いたい楽器を決めよう

 上記の「主役を決めよう」と通ずるところもありますね。アレンジをしていくと、あの音が欲しい、この音も欲しい、とアイデアがたくさん出てきます。その全てを盛り込むと全体として散漫に聴こえてしまうので、予め決めておくことをお勧めします。ロックな曲だけどピアノや管楽器が鳴っていてポップロックにしたいのか、あくまでもドラム・ベース・ギターのシンプルなロックバンドスタイルにしたいのか。作りたい曲のイメージに沿って考えてみてください。



構成を考えよう

 あるいは展開という言いかたも出来ます。曲の構成や展開に正解はないと言われていて、絶対にAメロから始めないといけない、というようなルールはありません。とは言うものの、土台のない沼地に家は建たないのと同じように、骨組みを考えないまま曲を作っても単調で印象の薄いものになりがちです。どういう風に聴いてもらいたいか。頭にサビを持ってくるのか、Aメロ、Bメロでしっかり前フリを利かせてサビで伏線を回収する流れにしたいのか、起承転結を軸にして考えてみましょう。



設計図を記録に残しておこう

 これだけ言うと漠然としてあっさりしたものに感じられるかもしれませんが、先にも書いたようにここは設計図になるパートなので非常に重要です。頭の中だけで考えるのではなくノート(できれば1曲につき1冊)などに記録しておきましょう。可能であれば、この段階でざっくり譜面を書いておくのが理想です。譜面を書かない場合は、構成のメモだけでも、パッと見てわかるように残しておきましょう。例として、以下のようにイメージをまとめておきます。

「ロックな曲」(仮題)
・BPM=130(アップテンポ)
・メロディアスなギターインストにしたい
・リフはなくても良い
・パートはギター、ベース、ドラム、ピアノを使う
・イントロなしでサビから始める。
・構成
 /サビ①/間奏/Aメロ/Bメロ/サビ②/Cメロ/サビ③/
・key=Aマイナー

次回以降、この連載では上記の設計図に基づいて解説を進め、連載終了時には一曲出来上がるように進めていきます!




ジュンペイ


余談① 曲を構成する3要素

 ものすごくシンプルに考えると、歌を構成する要素はメロディとリズムの二つです。メロディとリズムが決まればアカペラとして歌を歌うことが出来ます。逆に言うと、このどちらが欠けても曲を作ることはできません。リズムだけあっても歌えないし、リズムのないメロディを把握することは出来ないからです。したがって曲を作る根幹では、メロディとリズムがワンセットになっているということになります。
 メロディをさらに細分化して考えると他の要素が見えてきます。たとえばコーラス。いわゆる「ハモリ」です。あるメロディに別なメロディを重ねて厚みを出すために採用されることが多いです。メロディとメロディを重ね合わせるわけなので、当然、相性のいい組み合わせにしたいですよね。この、相性のいいメロディの組み合わせが「和音」ということになります。別な言いかたをすると「コード」です。
 ここまで見てきた「メロディ」「リズム」「コード」この3つが、曲を構成する大きな3つの要素と言えます。


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