「style」全曲解説 M6. Crow Field
前回emptyの記事で書いたことと時系列が前後しますが、2023年の1月に大竹伸朗さんの個展に行きました。目的は、同様にネタ探しで。
大竹伸朗展【公式】(@ohtakeshinroten) • Instagram写真と動画
失礼ながら、もともと僕は大竹伸朗さんを知らなくて、個展についてもとある人に紹介してもらって知りました。
創作の刺激になるネタが何かないか探していると話していたところ、こんなのはどうか?と紹介してくれて。
よくわからないで訪ねた個展でしたが、余計な事前知識がなかったのがかえって良かったのでしょうか。
ものすごく刺激をもらって、個人的に後日おかわり訪問したほどです。
Crow Fieldは、そんな大竹さんの作品群の中からとある絵画をモチーフにして制作しました。
もともとデモを書いた時の仮題は「Blue」でした。モチーフとなった絵画が青を基調として生命や水を表現したものだったので、まぁその絵をモチーフにしましたっていうくらいの軽い気持ちで。
最終的に「Crow Field」とタイトルを変えたのは、テーマである生命や水と、僕の生まれ育った地元が関係しています。
地元に「烏田」という地域があります。烏田という地名は遡ると江戸時代まで続くらしく、当時から農民が田畑を耕して暮らしていた小さな村落だったそうです(今もそんな感じです)。
現代では県道が通ったりしているものの、大規模な再開発があったわけでもなく多くの面積を田んぼが占めていて豊かな自然が残る地域です。
地元の人間からすると、中高生時代は「豊かな自然」とか要らねーからパルコかヴィレヴァンを作ってくれと思っていたけど、
人間の考え方は歳をとると変わるというのは本当なんですね。あまりにも何もない地元に若いころは絶望したけど、今はその同じ土地に感謝や愛着を抱いている割合のほうが多い(まだ100%じゃないのはごめん)。
自分の音楽においてルーツとか地元について触れてみたいという想いは昔からあったのですがなかなか機会もなく、なんとなく時だけが過ぎていました。
今回、大竹さんの絵画から連想した「生命力」が曲のモチーフに繋がったことで、地元を音楽で表現することが初めて挑戦できたという次第です。
生命力を表す手段としてこの作品ではフィールドレコーディングに出かけました。もちろん烏田に。
これだけ田んぼばかりだと、季節になると蛙の鳴き声がものすごいので、まずはそれを録音しました。
そのほか、流れる川の水の音や虫の声も採収し、キックドラムで心音のような素材も表現しています。
※ちなみにバスドラで心音を表現するアイデアはピンクフロイドのオマージュです。
単純なBmのループでリズムパターンも大して変わらないしメロディも基本白玉で、、、となると普通は曲として成立しにくいんですが(単調で飽きるため)、「豊かな自然」の音色を散りばめることでひとつの曲にまとめることが出来ました。
そんな烏田に感謝を込めて、タイトルは「Crow Field」としています。
ギターはレスポールとテレキャスです。
バッキングはライン録りでリードはアンプ。
速弾きを敬遠してきた分は、こういうたっぷりした表現で勝負できないと僕としても立つ瀬がありません。
渾身のブルースギター、聴いていってください。
「Crow Field」はアルバムの6曲目。下記リンクから試聴できるのでチェックしてください!
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