「style」全曲解説 M7. 黒い世界
僕は過去に鬱で苦しんでいた事があるのですが、この曲はその頃に書いたものです。
※正確には鬱まっただなかの時ではなくある程度回復してから当時を振り返って書いた。2019年のこと。
まぁ、今回のアルバムには、あってもなくても良かったような曲ですが、曲数稼げるのは助かるので入れておきました。
というのは冗談です。
「style」というアルバムは自分の音楽活動の節目になる作品だから、自分の人生にとって重要な出来事だった鬱のことを歌っているこの曲も絶対に入れたいとは思っていました。
内容は歌詞に書いてある通りなので、音楽のことを少し書きます。
この曲はアルバムの中でも最も多くギターをダビングしていて、バッキングだけでも同じフレーズを何個も重ねまくっています。
ただ単に音を重ねるだけの行為というのは基本的にNGだと僕は思っています。
ライブやセッションでギターが二人いるとして、ふたりが全く同じフレーズを弾いていたらアンサンブルにおいて邪魔です。
ひとり居れば十分なことをわざわざ二人でやる意味ってないです。
ただ、これは電子的にある程度の音量やバランスを制御できるバンド音楽に特有の感覚であるとも思っていて、世の中には音を重ねる芸術というものが沢山あります。
クラシックや吹奏楽だってそうだし、校歌斉唱や合唱コンクールもそうです。
「ひとり居れば十分なことをわざわざ二人でやる意味はない」と言ってしまうと、合唱という概念が成り立ちません。まぁ、バンドと合唱は別なものなので当たり前なのですが、、、
音を重ねることでしか得られない風合いや迫力のようなものは確かに存在するということです。
You Tubeで見たのですが、NirvanaのSmells like teen spiritを1,000人で同時に演奏する動画があります。
構成がシンプルな曲ほど重ねたら映える、なんてことは軽々しく言えないのですが、このテイクは音を重ねることによって得られる迫力について言葉を用いずに説明できる好例なのではないかと思います。
しかし、カートコバーンはsmellsをあまり好いていなかったということだけど、本人がこの動画を見たらどんな風に思うんだろうか。。。
話が脱線しましたが、重厚なギターサウンドとわびしいアコギの対比が派手なダークナンバーです。
苦しいことや辛い気持ちを無理矢理ポジティブで蓋をする必要はなくて、ネガティブはネガティブでそのまま表現してもそれによって救われることもあるんじゃないかな。
聴くシーンは選ぶ曲かもしれませんが、ぜひじっくり聴いてもらえたら嬉しいです。
友人にデモを渡したら、この曲をお子さんに聴かせていたのでちょっと驚きました。
「黒い世界」はアルバムの7曲目。下記リンクから試聴できるのでチェックしてください!
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