徒然草とともに 3章⑨
14世紀半ば宮廷の権威は弱まってきてはいても、優雅なしきたりや習わしは、いくらか名残りをとどめていたらしい時代, 徒然草の作者兼好法師の出自は諸説あって詳細は不明ながら、もと蔵人所の下級職員として内裏に出入りする家系の一員であったらしく、出家遁世して自由の身となり、僅かな資産とアルバイトで暮らしをたてながら、独り暮らしの徒然なまま、心に浮かぶあれこれを、好きなように書きとどめたという。
頭脳明晰、感性鋭く能書、なみなみならぬ文才の持ち主で、おまけに記憶力抜群、とあって、有職故実に詳しく、貴重で的確な証言のかずかずに興味は尽きないが、243段の61段まで、コメントを書いてきたものの、向後全てを取り上げていくのは、かえって冗漫になり、退屈で、関心も薄れてしまう、と思うようになった。
今後は歴史的な事象はさておき、現代でも面白く、人として心に響く文節を主として取り上げていくことにしたいと思う。
次回は第68段から読むことにしたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?