徒然草とともに 3章 ⑰

 七六段、気難し屋の兼好法師のお説教が続く。
近ごろ流行している珍しいことなどを、云いひろめてもてはやすのこそ、またまた感心できない、と断じる。
  
 これ、今でいえば「昨日の…野球、韓国との勝負はxx対xだったねぇ。やっぱり大谷祥平、凄いなあ」などと興奮して言い交すのは、兼好法師によれば”請けられね”ということになるのかもしれない。そして、そういうことを、世の中の誰でもが云いふらすようになって、初めて知る人こそ、奥ゆかしく心憎い。ということになるようだ。

 また、新しく仲間入りした人の前で、云いつけたことばが、以前から仲間内で通用しているものとか、ものの名前などで、知っている者同士で、いちぶだけちょっと云いかわして目くばせして笑いなどし、新参で、意味の解らないひとをまごつかせるなどは、世間知らずのおろかものが、必ずやることである。とこきおろす。
 世捨て人法師の矜持、というより、兼好法師のセンスの問題で、見方によれば少々心狭い話ではないか、と思えたりもする。  


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