徒然草とともに 4章 ④

104段と105段に進むまえに、この草紙では、すでに読んできた32段、33段でも、一筆書きのような軽い筆致で、男女の機微を、心理的に描いているのがあって、それも読んできた。
 けれども、この104段は、まるで王朝文学風の掌短編小説のような作で、源氏物語の愛読者だった法師が、気の赴くままに、あるいは思い出をたぐりよせ、思いのままに、練り上げた小品のようである。そして、ほかにも、自賛まじりに織りこんだ男女の遊び心と戯れや、スケッチあり、都の噂話あり、人生放談あり、訓戒あり、有職故実あり、一口噺あり、佛の教えあり、243段、数えあげれば きりがないくらい話題は多方面に広がる。これらを、無駄のない引き締まった文でまとめ上げて、およそは納得させ、もし音読すれば、比類のない美しさで響き、情景が浮かび上がる。それや、これやで、次回
 104段、どのように読んでいこうか、まだ決めかねている

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