徒然草をひもといて5章(33)191段続 さしてことなるなき夜……

 陰影礼讃の続きは、さほど事もない普段の夜、みやこの、宮廷あたりに、さりげなく出入りする男女の風物詩、
まるで、目に見えるように、艶やかに描く法師の筆にはかなわないながら、ところどころ現代語に直しながら、描き写すと、夜もふけて、参内したひとが〃きよげなる〃こざっばりした身なりなのは、じつによい。若い人同士互いに関心をもって見ているばあい、時間は関係なく、とくに気を許してしまいそうなおりふしも、時と場合にかかわりなく、身だしなみには心配りは“あらまほし”であろう。
身分ある佳い男も、日が暮れてから髪を洗って梳いたり、女も夜が更けてから、そっと席をはずして、鏡を取り出して、化粧なおしして、また場
にもどるなど、をかしけれ=いいもの、である。
 とのこと、兼好法師はこんなところにも、目をつけていたのかしら、となんとなくその繊細至極、ある意味、実に、気難しい感性はおかしいくらいである、
 このおかしい、は勿論いまふうの、可笑しいであることも、付け加えさせて頂く。



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