徒然草とともに 2章 ㉛

 39段の法然上人の教えに深い感銘を受けた兼好法師の感動を書き、引き続いで浄土真宗の開祖ともなられた親鸞上人の『歎異抄』について誤記してしまい、宗教については引き続きあれこれ考えている。

 かねてから日本では、本格的な宗教意識はなかな育たないのが気にかかってきた。これは日本人が真剣にものを考えない人種人とは言えないと思うので、ことさら気にかかる。歴史的に家遁世の聖者にも事欠かないので、なおさらどうなってるのか?という感じ。現在わたし自身はキリスト者である。

 ともあれ、江戸時代後期に曹洞宗の僧侶で、晩年故郷の越後、国上村の寺庭の片隅に庵を結び乞食生涯を送った良寛和尚は、数奇な運命のひとでもあったが、若くして出家遁世し、同胞にも愛深く、罪のない子供たちにとりわけ親しみ、数多くの詩や和歌や書を残ているが、そのなかで次のように歌っているのがある。
  いかにして 誠の道にかないなむ 千歳のうちに ひと日なりとも

 多く言葉を費やすつもりはない。ただ心の奥深くに染みとおるのみ。
    
  


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?