徒然草とともに 3章 ㉔

 88段にはなかなかユニークな人物が紹介されている。
 ある者(名前不詳)が小野道風が書写した和漢朗詠集だといって持っていた。しかしある人(名前不詳)が「お持ちのご本の伝来は、いいかげんなものではございますまいが、四条大納言が選ばれたものを小野道風が書いたというのは、時代が合わないのが、不審であります」と言ったと「そうだからこそ、世には稀な品なんです」と言ってますます秘蔵した、という。ここで持ち主は、ある者、疑問を発言した人物はある人、もしかして兼好さんかもしれない。現代でも落語のネタになりそうな話である。なるほどそう言われれば、世にふたつとない珍品かもしれない、と持ち主の嬉しそうな顔さえう浮かんでくる。小野道風は、今も子供でさえ知っている書家だから本物の和漢朗詠集書写本は多分素晴らしいものであろう。見たいものである。
因みにこの二人の生没年は
小野道風894〜966
和漢朗詠集の選者四条大納言藤原公任 966〜1041
となっている、

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?