徒然草をひもといて 4章 (40)137段続

すべて月や花は、それほど目で見るものであろうか、春には、わざわざ花見に出かけなくとも、又、月の夜には寝間のうちに居ながらも、思い浮かべ想像するのこそとても興味深いものであろう。
身分高く教養あるひとは、一途に桜花を愛でる様子もなく、月に興じるさまも通り一辺である、片田舎のひとこそ(法師は、田舎のひとなどにもかなり差別意識が強い…)しつこく、よろずのことに興味をもって、花の下にねじより、立寄り、じっと眺め見守り、酒を飲んだり 連歌したり、大きな枝を心なく折り取ったりする。泉とみると手足を差し浸してみたり、雪があると降りたって足跡をつけてみたりと、万事よそながら眺めるということがない。という、たしかに、なにごとも、おおげさにはしゃいだり、騒ぎたてるのは、はしたなく、ただひっそりと静かに愉しむことこそ、あるべき姿勢と考えていたようである。
   


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