高雄師範大学のファブ施設などを見学してきました
高雄師範大学は1954年に開校した高雄女子師範学校を前身とする台湾・高雄市にある国立の教育大学です。1967年に共学化されて台湾省立高雄師範学院となり,1980年に台湾省立から国立に移管され現在に至ります。大学は高雄市郊外の燕巣キャンパスに存在し学生数は約6600人です。なお,国民小学,国民中学,高級中学の附属学校は高雄市中心部の和平キャンパスにあります。2017年3月に訪問させていただいたのは燕巣キャンパスであり、特にそこにオープンした自造者基地とよばれるファブ施設を見学させていただきました。
高雄市の郊外にある広大なキャンパスです。
高雄師範大学自造者基地(FabLab-NKNU)は,2015年12月に燕巣キャンパス内にオープンしました。ここでFabLab(ファブラボ)とは,アメリカのマサチューセッツ工科大学から広まったデジタル工作機械が設置された市民工房のことです。日本にも滞在されたことのあるお知り合いの先生が設置に携わられていたこともあり、ファブ施設がオープンしたとのことで見学させていただきました。この大学が中心となり、地域の小学校、中学校、高等学校に衛星基地というファブ施設が作られています。
自造基地のスペースは作業机が並んだ創意発想空間とよばれる研修室が一部屋,3Dプリンタが80台ほど設置された実習室とレーザー加工機が10台ほど設置された実習室がそれぞれ一部屋の合計三室がありました。
創意発想空間
自作のロボット教材の開発が行われています。
自作のロボット教材の開発が行われています。
3Dプリンタ
部品を購入して、大量に自作されていました。
近隣の小中学校に貸し出すために50台ほど用意されていました。
ここでロボット教材の筐体部品などが作られています。
レーザー加工機
排気装置も自作されており、複数台が設置されていました。
この後、さらに充実した施設になったようです。
など、大学内にある恒星基地でこれらを学んだ地域の小中高の教員は,地域の行星基地や衛星基地に出向いて,別の教員への指導や児童・生徒たちへの指導を行います。さらに,それぞれの行星基地や衛星基地ごとの取り組みが加わり,その活動はさらに広がっています。
高雄師範大学自造基地における自造者教育について,訪問調査を実施しました。台湾では新しい技術教育の姿として,単なる知識詰め込みや個々の技能の訓練よりも,知識や技術を生活の中で適用する創造設計が重視されています。デジタルファブリケーション機材はそこで自然と必要となるものであり,大事なことは、そこから生み出されるアイデアや発想を具現化することです。作ることを通して自らが考えながら学ぶ力を育成する教育へ転換しようとしている姿は日本の教育にも示唆を与えてくれます。
公式サイトは下記になります。
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