ありがとう

立ち止まるだけで
扉が開かれる

呑み込まれた僕は
人の居ない隅へと
歩き続ける

「ご自由にどうぞ」

誰とも話したくない時に
紙に書かれた言葉はとても優しい

広く明るい個室の中で
厄介な用を済ませて
手を伸ばすだけで
親切な水が流れてくる

開くあてのない表紙たちに
ありもしない関心を寄せながら
歩きすぎる

(ありがとう)


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