はやぶさ エンジニアのお話

(この記事は、2011/02/05 に公開された記事です)

ソフトウェアテストシンポジウム2011東京 Jasst'11 Tokyo 参加。
年初からの科学技術ネタが続きます。まあ、エンジニア業界にいるわけですから毎日そうなんですが、イベントが続くということで。

Jasst'11 Tokyoにて、「はやぶさ」を開発した企業エンジニアのお話あり。
 【「はやぶさ」をミッション完遂に導いたソフトウェア開発】
NEC東芝スペースシステムの檜原さん。檜原さんはSESSAMEのメンバーでもある。
先般、JAXAの川口先生のお話やノンフィクションライターの山根一眞さんのお話を聞き、年初からはやぶさ3回目。今回は自分の立場にやや近いところ方のお話。とても誠実にお話されていたのが印象でした。なにより、会場につめかけた700名くらいの参加者(その多くはソフトウェア・エンジニアだろう)がなんかこう「ワクワク」した感じで聞いているのが伝わってくる。

 冒頭に「フツーのエンジニアでできる話しをします、みなさんの自信につながっていただければ」と。こんなことが言える檜原さんはエライ。これが今回の講演の筋であったように思います。
 お話の内容は日本の人工衛星1号機「おおすみ」からNECは関わっているというお話から、エレクトロニクス、ソフトウェアの専門的な内容を交えながら進みましたが、随所に出てきたのは「宇宙への取り組みはビジネス、仕事です」ってところです。人工衛星で言うと、GPSや地球計測や気象や・・・、それらは日々の生活にかかわっており、地球上の人々の安心、安全な生活を支える様々な情報を提供しているもので、宇宙は”夢”から”社会インフラ”へとなってきている。海外案件への参画もあり、企業としてはそれはビジネスとしてとらえています。そうすると、投資回収、低コスト化は重要な課題。

■講演ででてきた人工衛星におけるソフトウェアの主な役割
 姿勢制御
 太陽電池パネルを使うための機体制御
 自動制御(主にシーケンス、自動運用)
 自律制御(人工衛星自身がモニタし対応する)
 カメラや通信機器の制御 ← これが主に「お客さん」のビジネスの元になる

宇宙に行くものは大規模な組込みシステム。さらに地上の管制システムも膨大です。人工衛星をブロック図で書くと携帯電話と同じようになり、仕組みとしてはよく似ているとのこと。現在では民生機器に使われているような一般的な技術を活用して厳しいミッションを達成するために着実な開発も行っているそうで、リアルタイムOS導入事例としてμITRONの適用を紹介されていました。そのメリットとして、興味深かったのは以下。
・人工衛星の運用維持期間は予算が少ない。一般的な技術応用でこの課題を解決方向へ
・μITRONベースのOSを使うこととで社内外のエンジニアと交流が大幅に増加、中小企業との共同研究や、社内共通技術の組織化、 情報入手のしやすさ向上にて、コスト、品質への寄与あり
μITRONベースのOSはETロボコンでも利用されています。ETロボコンと宇宙はつながっていました。

また、メカ、エレキ、ソフトの総合技術としてがんばることの大事さ、異業種の技術を貪欲に吸収する大事さをおっしゃってました。
例:イトカワ着地時の画像認識は、FAでの微細制御技術や三次元画像処理はゲームがスゴイ。

こぼれ話しとして、有名になった「はやぶさ」が最後に撮った地球の写真。この写真にもかなりのご苦労があったそうで、檜原さんたちは撮影運用するまわりでおおわらわだったそう。科学者も技術者もみんな「はやぶさ」に地球を見せてやりたかったんだなぁ。

「今後へ」と檜原さんはいくつかのお話をされましたが、その中で気にとめたもの。
・組込みシスム開発やるからには、メカ、ソフトこもらず議論”しなくてはいけない。先入観にとらわれないように。総合力で。
・日本はガラパゴスと言われるがそのガラパゴスを大事にしよう。日本独自のインキュベーション、欧米などではやっていない世界初を。
・Janglish(日本語なまりの英語)は仕事のツールとして必要。国際間協力多い。日本語でも説明難しい事柄が多いので流暢にはしゃべれない。(なるほど)

JAXA川口先生のお話と共通するなーと感じたのは、この2点。
・総合力で
・世界初を

よし、がんばろう。

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