18才の経済

(この記事は、2012/04/16 に公開された記事です)

拙宅では3人の愚息は全員親元を離れて学生生活を送っている。福井の高校を出てよその地域に進学した。

 経済的に見ると、子女の他地域への進学はすごく大きな他地域への経済投資でもある。学費、家賃、仕送り・・・・1人の息子について、高級乗用車の何台か分となる。
高等教育における経済投資という面では、大都市圏が他地域からの学生流入の多さから地域間貿易大幅黒字だろう。 (参考)文部科学省・平成23年度学校基本調査(確定値)(pdf)
大阪の橋下市長が、福井県の原子力発電に関連して、「原発がある福井のたいへんさもわかるが、大都市の資金でまかなわれていることも事実だ」というようなことをおっしゃたと記事をみたんですが、高等教育に関していうと逆だなぁ。

「ふるさと納税制度」というものがあります。 (Wiki)
他地域に住む人がふるさとに寄付をすると、税控除されます。これは、福井の西川知事が言い出しっぺと言われています。
先のブログで書いたように、大都市圏以外の地域では18才になると多くの若者がふるさとを出て進学します。Uターン、Iターンといった人数は、そのまま他地域で就職・生活する若者に比較すると少ないでしょう。「18才まで福井で育てて」「高等教育で他地域に投資し」「他地域で働いて稼ぐ」となるわけです。 いや、そりゃちょっと育てたふるさとにも恩はあるだろう、ってことなのかもしれません。文部科学省の学力調査、体力調査では小中学校ともバツグンの成績で、私や私の知人の多くが「福井の人はマジメである、よく働く」と認める土地柄で育てた子どもたちですからねぇ。
 しかし、福井の企業人としては全く反省するばかりではあります。よその地域で大学に行ったとしても、ふるさとに魅力的な働き場所があればUターンしてくるだろう、入ってみたい企業がたくさんあれば他地域から若者もやってくるだろう、大都市圏にはそれがある。福井にはそれがないから若者はよそで稼ぐことになる。
福井県ではものづくり分野におけるUターン人材の確保にこうした奨学金制度も行っています。
福井県ものづくり人材育成修学資金(ふくいものづくり奨学金)
ものづくりには情報サービス業も含まれています。理工系大学院生むけで、卒業後福井のものづくり企業に7年間つとめると全額返済免除とあります。
 若者が「働きたい」「やってみたい」と思う企業にならなければ。

大都市圏には、と書いたのですが、日本では三河のトヨタ自動車グループはじめ、大都市圏以外で若者が働きたくなるような企業群が多くあります。アフレルが取引しているデンマークのレゴ社は人口数万人の片田舎の町にあります、私たちの目標とする企業群でもあります。

ETロボコンやWROでお付き合いの多い岩手県では、こうした課題への対応として産学官連携で具体的に取り組んでいます。ETロボコンの事務局も担当いただいている岩手県科学・ものづくり振興課が推進役。
東北は震災前から若者が働く場の確保が課題となっており、若者の人口流出は福井よりも強いものであろうと思われます。岩手県では自動車産業、半導体関連、情報産業関連等を積極的に誘致しています。製造工場だけでなく自動車産業や制御系分野のソフトウェア産業の誘致にも力を入れています。製造工場に比較するとソフトウェア分野は雇用が多く見込めます。→ 工場1カ所で数十人、ソフトウェアだと工場の1/10以下の建物で数百人。
ソフトウェア分野には開発できる技術者、技術者の卵が必要です。岩手県立大学にはソフトウェア工学科があり、この学科の卒業生がそうした需要に応えます。 一般的に県立大学は地域の国立大学にない学部・学科をもって設立されることが多いのですが、国立岩手大学に情報システム工学科があってもなお県立大学にソフトウェア情報学部をつくったのは、こうした地域産業振興を目指したものであるようです。
「岩手に研究開発拠点をつくってください。岩手にはソフトウェア開発できる技術者の卵が年間数十名輩出されます、大丈夫です」 私が知る限り、岩手も福井に負けないマジメな人が多い土地柄である。

若者が働きたいと思い、働ける企業となろう。

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東京スカイツリー

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大阪近郊は高速道路の発達がすごい

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