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スーパーロボットとリアルロボットの境目って何だろう

 こんにちは、鉄機です。

 ロボットアニメを愛するオタクならばお馴染みの概念「スーパーロボット」と「リアルロボット」、ロボアニメ界隈ではよく話題にのぼるこの2つの概念について自分なりの解釈を書いてみます。

スーパーロボットとリアルロボットってなんだよ

 本記事をお読みの方には説明する必要もないとは思いますが、そもそもこの区分が提唱されたのはロボアニメオタクにはお馴染みシミュレーションゲーム「スーパーロボット大戦」シリーズにおいての文脈です。多種多様なロボアニメの性質を大まかに区分けしてユニットとしてのキャラクター性を強調するべく設けられたのがこの2つの区分けだったのですが、そこでは説明できないエネルギーで稼働しているのがスーパーロボット、そうでない説明可能なエネルギーで稼働しているのがリアルロボットという区分でした。

 つまりここで話題にするのは、リアルロボットと対比され得る概念としてのスーパーロボットです。

 そもそもスパロボシリーズがこの概念を提唱する遥か昔、マジンガーZのOP歌詞の中にだって「スーパーロボットー♪ マジンガーZ♪」なる単語は登場しているし、(自分は詳しくありませんが)それ以前の特撮やアニメーションにもやはり「スーパーロボット」なる単語は登場していたとされています。あくまで多種多様なロボアニメの区分、キャラクターの属性としての「スーパー/リアルロボット」という考えが広めったのはやはりこのスパロボにおける区分だった訳です。

 ですから、「スーパーロボットとリアルロボットってなんだよ」と問われれば、「説明できるエネルギーで動いているかどうか」と答えるのが原義的には正しい事になります。本来的には極めてローカルな、いかに影響力が大きいといえども一ゲームシリーズの中で留まる概念でした。

 だからそれ以上の意味を語ろうとするのはそもそも全く無意味な営みです。ゆえにこのnote記事も無意味です。ごめんなさい。

       終
     制作・著作
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ふわふわとしたスーパー/リアルロボット概念

 ですが、この概念は一ゲームシリーズの中の範囲を超えてどんどん拡散していきます。「あの作品はスーパーロボット系だ」「いやリアルロボット系だ」と、スパロボシリーズにおける単なる分類の枠を超えて、ロボアニメオタクの中ではある種共同幻想的な概念の一つとしてふわふわと語られているのが現状での認識です。

 スーパーロボット/リアルロボットか、別にこれらをはっきりさせたところで全く意味はありません。戦後サブカルチャーの半世紀以上に亘る歴史の中で、実に1960年代から続いて来たロボットアニメの歴史。そこへ途中から後付けの分類として当てはめたに過ぎない概念でしかないので、この概念に沿ったから正しいスーパー(リアル)ロボットになる訳でもなく、また、外れていたからといって価値のないロボアニメになる訳でもありません。

 言ってしまえば、誰も定義できないふわふわとした区分だからこそ、界隈の中で時たま話題にのぼるトピックであり続けている訳です。誰も答えを出せない、そもそも答えのない、新たな区分を提唱する人間と反例を出す人間とフワフワした話題をキャッキャしながら語る自分のような人間だけが飛び付く概念… それがふわふわとしたスーパー/リアルロボット概念です。

お前にとってのスーパー/リアルロボットとはなんだ

 それならこのnoteで書きたいのは何かと言えば、自分なりの解釈です。つまり何がスーパーロボット的なロボットで何がリアルロボット的なロボットなのかという、全く無意味な判断をする為の基準の中の一つです。

 項目は2つ。

 ①再生産可能か否か
 ②特定個人に依存するものか否か

 自分はこの2つの項目に当てはまるかどうかで、"そのロボットがスーパーロボット的かリアルロボット的か"を判断しています。本来のスパロボルールで分けたスーパー/リアルロボットの区分そのものには意味が無いと思っていますが、そこで分けようとしたロボットの傾向についてはたしかに何らかの共通項があるよな…と考えてきた末に、現状の自分の中で辿り着いた考えになります。

①再生産可能なロボットとは

 再生産可能なロボットとは、すなわち作中世界の技術水準で解明可能な技術が使われており、再入手できるような資源で建造されており、必要な技術が作中世界の中で継承されており、その結果として再生産する事が原理的に可能なロボットというような意味合いです。

 これは結果として、いわゆるリアルロボットと呼ばれるようなMSやATやCBといった機体群… 兵器としての側面が強いロボットたちの共通項でもあります。ロボアニメ界隈にリアルロボットというムーブメントをもたらした機動戦士ガンダムにしても、その地位を確固たるモノにしたのは、ロボットの運用体制を現実的に描いたこともさながら、量産機という概念を本格的にロボアニメの中へ持ち込んだ事にあります(種々の異論はあるでしょうが)。

 言い換えれば、たくさん揃えられること、肩を並べられること、いくらでも作り直せること…これら再生産可能だという属性が、巨大ロボットからスーパーロボット性を喪わせるということです。

特定個人に依存するロボットとは

 特定個人に依存するロボットとは、すなわち作中世界のとある人間の非凡なる才能によって開発され、とある人間にしか乗れないように設計され、とある人間にしか扱うことを許されず、その結果として特定個人に結び付けられて拡張された身体として描かれるロボットというような意味合いです。

 ロボットアニメにおける巨大ロボットを分析する際、搭乗者の身体の拡張という定番の概念が持ち出される事があります。これは巨大ロボットを搭乗者の意のままに動く、身体そのものの延長として見る際の見方です。これは巨大ロボットの一側面を言い表したものだと言えますが、特にスーパーロボット性を押し出したい機体の場合には、こういった側面が特定個人に対して… 特にパイロットに関して強く描写される傾向があるように考えています。

 翻って、リアルロボット的な機体の場合はどうなのかと言えば、だれか特定のパイロット以外でも操縦できたり、誰か天才と言われるような博士が開発したという訳でも無かったりと、特定個人へ紐づけられる要素が少ないのが王道です(これにも種々の反例はありますが)。

 特定個人に依存するロボットかどうかというのは、つまり、そのロボットが誰にでも紐づけられる機体かどうかだと言い換えることもできます。

キーワードは"代替性"

 そのロボットが再生産可能か否か
 そのロボットが特定個人に依存するものか否か

 ここまでこれらの要素を軸にして話を進めてきましたが、この2項目は実は本質的には同じことを言っているに過ぎないのでは?と気付いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 つまりそのロボットが代替可能どうかということです。

 再生産可能であればロボットそのものに替えが利くし、特定個人に依存するロボットでなければやはりロボットを操る人間にも代替が利く。そうやって巨大ロボットと特定個人との関係性を切り離すという試みが、リアルロボットというジャンルを作り上げたのではないかという風に考えています。

 極端な例を出すなら装甲騎兵ボトムズのATなどはまさにそうで、誰でも操縦でき、どこでも生産でき、誰でも整備できる、その結果としてロボットも人間も代替可能な世界を描いたのがあの作品です。その作品の中でさえ、特別な素養を持つ人間にしか乗りこなせない特別な機体が出てくる訳ですし、ここまで語って来た2つの基準は作品ごとに適用するべき概念ではなく、登場する機体ごとに適用すべき概念だということも分かります。

 たとえばとあるスーパーロボットが量産可能になって大量に配備された時、その機体はもはやスーパーロボット性を喪って、リアルロボットになるという風に言うことも出来ます。代替不能な存在と成り得た時に、巨大ロボットはスーパーロボット足り得る条件を満たす…というのが自分なりの結論です。

わぁ!例外がたくさん!

 分かっています。そう、言われなくともいやというほど分かっています。このnote記事を書いている間にも、これまで見てきた無数のロボットアニメの記憶が脳裏を飛び交い、「例外があるんですけどぉ!」と声高に叫んでいきました。雑語りよくない。やはり無理がある。

 冒頭にも書いた通り、やはりこれは誰も答えを出せない、そもそも答えのない、新たな区分を提唱する人間と反例を出す人間とフワフワした話題をキャッキャしながら語る自分のような人間だけが飛び付く概念… それくらい、長い長いロボットアニメの歴史を二元論的な立場で後から分けようとするなんていうのは無意味な試みなんです。

 しかし、"代替性"というキーワードで分けられるロボットの傾向には、巨大ロボットとパイロットという切っても切り離せない両者の関係性に踏み込む際、重要な視点の一つであるとは考えています。

 たとえば技術的に、資源的に、人員的に、その他考えられるあらゆるリソースの制約的に、あるロボットが代替可能な存在となった時に現れてくる"リアルロボット性"とでも言うべき傾向は、機動戦士ガンダム以降の作品で定番の一つとなりました。逆にそういったリアルロボット的だとみなされている作品の中でさえ、たとえばパイロットの替えが利かない機体や、ある開発者によってしか開発しえなかった機体など、特定個人に依存するような機体が登場します。

 そこにあるのはやはり替えが利くかどうかという視点です。代替性があるかどうかというキャラクター的な属性です。本質的には全く無意味な"リアルロボット/スーパーロボットの区分"についてのトピックですが、もし読者の皆さまがこれからロボットアニメを見る際、参考になるような一つの視点を提供できたなら幸いです。

 では!

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