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万引き家族とさらわれた犬

万引き家族という映画を見た方も多いだろうが

それを見た時ある昔の話を思い出した。


私が20代のころ当時友人宅に居候させていただいていた時期があった

ある日友人がヨークシャテリアの子供をペットショップで見つけたと

自宅に向かい入れた。友人はとてもいい人だが

行動が後先考えない衝動的な人で

おまけに精神的に不安定なところもあるため

ペットを飼えるタイプではないと思ったが

私かどうこう言う立場でもないのでその犬と同居することになった。

友人は物凄くかわいがってはいたが案の定

毎日散歩に連れて行くわけでもなく

私が出しゃばって散歩に連れて行くのも・・・と思い

犬も嫌いじゃないが猫しか飼ったことがない猫派の私が見ても

さすがにかわいそうで

犬はさんぽしないとあかんのちゃうか?などと促し

たまにだがしぶしぶ散歩するという状況で一年が過ぎた。


ちーちゃん

ある日、仕事から帰ると

友人が家の掃除をしている時玄関を開けっ放しにしていたため

ちーちゃん(犬)がいなくなったと嘆いていた。

でかいマンションだったが隅々各階探して外も探し回ったがいなかったと。

今までは出ることはあってもすぐに戻ってきていたのに・・・

と相当落ち込んでいた。


それから一か月くらいたったある日

仕事が終わって友人と食事した帰り

真夜中のマンションのエントランスで

50代くらいの女性と遭遇した。

そばにはリードを付けていないおばさんのポメラニアン。

友人は、ほにゃららさん!と声をかけた。

ちーちゃんの散歩のときに

このおばさんとたまに会話したと聞いていたので

犬友達か~と視線を落とすと

次の瞬間

友人と私は固まった。

ポメラニアンの横に成犬?のヨークシャーテリアがいた。

そのおばさんはずーとそのポメラニアン一匹だったので

確実にちーちゃんだ!

私の犬ではないが同じ屋根に暮らしていたからわかる。

状況的にも間違うはずもない。

友人はおばさんに駆け寄った。

私は勝手に、よかったやん!保護してくれてたんや!

とちょっと離れたところで見ていたけれど・・・

なんだか雲行きが怪しい。

そんな中、切れ気味のおばさんの声が聞こえてきた

「あなたの犬なら見た時に駆け寄るはずよね?これは私の犬ですから!」

と言い放つと踵を返し立ち去る。

その後をポメラニアンがついていく。

そしてそのヨークシャがついていこうとした時

友人はただ黙ってみていたが


思わずちーちゃん!と

私が叫んでいた。


すると立ち止まってこちらを見た。

そしてこちらに歩いてこようとした時

ポメラニアンが割って入った。

何か会話をしてる様子?だったがその後こちらには来ることはなく

何度か振り返りながらポメラニアンの後をついていった。

私はボー然としていた。こんなことがあるのか??と。

そのあと友人にあれ絶対ちーちゃんやで、ええんか?

と聞いたが

「ペットショップで買ったといわれたらどうしようもない。」

とあっさり引き下がった。

調べたらわかるだろうがなんかもうええわ・・的な感じだったので

私もそのまま友人を尊重した。


私はこのことがものすごく衝撃的で今でもその映像を鮮明に覚えている。

あまり散歩に連れて行ってなかったがかわいがってはいた。

犬は人につくと聞いていたので

犬が主人を見限るなんて思いもよらなかったのだ。

ただ、年を重ね

今はいろんな情報がYouTubeなどで犬のしつけ的な動画を見ることが

出来る中、ちーちゃんのあの行動は少しわかるようになった。

犬は人につくのではなく

よいリーダーにつくということなのだろう・・と。

そのあと友人は新しく犬を飼った。

私はそれからその家を出たので疎遠になりどうなったかは知らない。

あの真実は神様じゃないとわからないが

あの犬がちーちゃんだったとしても

あのおばさんが保護しかわいがっているのはわかるし

ちーちゃんにとってはよいリーダーだったのではないか?

あまりいい待遇ではなかった友人のところよりは

犬の仲間もいるおばさんのところの方がいいと自分で決めたんだろう。

これでよかったのではないか・・と

ただ、人の犬を盗んだが幸せにしたあのおばさんと

可愛がってはいるが面倒は見ない友人

この状態を神がどう判断するのか・・・知る由もなく

未だに答えがわからない私であることを思い出させる

万引き家族とはそういう作品だった。








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