スイスのABB社、ロボティックオートメーション変革期の2022年における主要トレンドを予測
2022年3月15日、ABB社(スイス)は、顧客のニーズ、市場調査、複数業界の250社を対象としたグローバルな調査に基づいた、2022年のロボット需要に関する3つの主要トレンドを発表した。
同社ロボティクス部門の社長に就任したマーク・セグラ(Marc Segura)氏は、新型コロナウイルスのパンデミックにより広範囲にわたる影響があり、ロボットによる自動化などテクノロジー導入のニーズが増加し、これまでロボットが使用されてこなかった分野での需要を押し上げるような新しいトレンドが生まれていると説明した。トレンドの内容は以下のとおり。
<電気自動車に関する競争の加速で自動化を重視>
多くの国で今後10年間に内燃機関自動車の生産が段階的に廃止される中、電気自動車(EV)に関する競争が加速している。自動車メーカーと関連会社は、EVの多様化と各国のEVに関する規制に対処するために、迅速性と柔軟性を重視し、従来の直線的な製造から、モジュール化された柔軟な製造へと移行することが予想される。また、持続可能性と地域のニーズから、バッテリー製造が自動車組立の近接地で行われるとしている。こうした状況から、自動車業界では、自律走行搬送ロボット(AMR)など他のテクノロジーと組み合わせたロボットの導入が進むと見込まれている。
<電子商取引の加速>
電子商取引の増加に対応するために、企業は、商品の流通・販売に関わる全ての販路を統合する取り組みであるオムニチャネル・リテーリングを採用し、製品と配送の両方のパーソナライゼーションの実現を目指している。これにより、自動化に向けてロボットの導入が加速しており、この傾向は2022年も継続すると考えられる。これにより、倉庫や流通業務の新しい分野で、より軽量で小型のロボットのニーズが増加し、人工知能(AI)や機械学習(ML)を備えたロボット技術がAMR技術と一緒に導入され、インテリジェントなソフトウェアによって編成・管理されることで、柔軟性、迅速性、効率性が強化されると予想される。
<ロボットの導入の加速によりオペレーターはスキルが必要に>
小型で安価、使いやすい協働ロボットであるABB社の「YuMi」、「GoFa」、「SWIFTI」や、AIで学習するロボットなどにより、建設、医療研究所、レストラン、小売関連企業などでロボットの導入が加速している。また、ロボットを扱うスキルも必要となることから、学校、大学、専門学校で、自動化の未来に向けたロボットのプログラミング、操作、メンテナンスのスキルを身につけるための研修が求められる。2022年以降、コネクティビティとデータ取得が重視され、ABBの「RobotStudio」のような高度シミュレーションおよびプログラミングのソフトウェアツールは、顧客の自動化を簡素化する。
2022年のトレンドは、産業界でロボットの導入が急速に進むロボティックオートメーションの変革の10年の始まりを表している。今後のオートメーション分野では、柔軟性とシンプルさが成功の鍵であり、ABB社の目標は、ロボティクス、モバイルロボティクス、マシンオートメーションによって新たな可能性を生み出すイノベーションを推進し、顧客が投資を最大限に活用するために必要なデジタルサービスやトレーニングを提供することで、柔軟性を実現し、ビジネスに価値を付加することに役立つことである。
出典:
2022年3月15日付 ABB News(英語)https://new.abb.com/news/detail/88734/prsrl-abb-predicts-key-trends-that-will-change-robotic-automation-in-2022
2022年3月29日付 Robotics & Automation News(英語)https://roboticsandautomationnews.com/2022/03/29/abb-predicts-key-trends-that-will-change-robotic-automation-in-2022/50044/