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FIBAアジアカップ2023備忘録[酔狂自己満籠球備忘録(SJBB)#18]

はい。いつもの通り自己満備忘録なのだ。
今回はダラダラと語っていく形式でいきます。
最後まで読んでいただけたら嬉しいです。


1.準優勝

いきなり結果ですが、惜しくも6連覇の偉業を逃して2位でした。

それなりの虚無感というかロスというか、そういうものを感じるくらいに、今回のチームに対する思い入れはありました。
手応えはしっかり感じることができましたが、やっぱり勝たせてあげたかったから残念だし悔しい。
そしてもう二度とないこのチームが終わってしまった寂しさがありますね。それは代表チームの宿命でもあるのですが。

決勝の相手は中国。2点差の惜敗です。
身長差をどうやって覆すかというバスケの真髄のような、最高におもしろい試合でした。
世界一美しいチームディフェンス。
ほんとに良いチームだったし、随所に良いプレーが出ていたし、勝たせてあげたかったけれど、及びませんでした。

中国がやっぱり強かった。
WNBA組が直前の合流で、ほぼぶっつけ本番だったはずですが、揺るがなかったですね。

2.原動力の話

2点差の試合について勝因と敗因を論じようとは思わないけれど、最後のスリーポイントがなければ5点差だし、中国の強さが際立っていたので明らかな差は感じました。

精神論みたいなものを語ることが許されるなら、モチベーションの違いが少しだけどあったかな、とは思います。
アジアカップでずっと勝てていなかったことが、中国チームの原動力になっていました。
去年ワールドカップでも2位になって、アジア最強をアピールしたい中国は、このアジアカップは何としても負けられなかった。それが中国の原動力。最終盤の驚異的な集中力の源でした。
日本はもちろん優勝が目標だったけど、前回も恩塚さんのチームで勝っていたし、オリンピックを見据えているから、完全に貪欲にはなれなかったかな、と思います。
これは批判でもなんでもなく、勝ち続けるのは難しいよね、という話です。

去年のワールドカップの惨敗から這い上がる姿を見せるための大会でもありました。その点は充分に示してくれたと思っています。
自国開催で無観客のオリンピックが今から始まるとしたら、良いところまで行けそうだな、というのが僕の評価です。そんな手応えは感じてます。
代表チームの活動にかなりの制約がある中で、オーストラリアに圧勝し、中国と互角にたたかえるまでのチームを創り上げた恩塚さんとコーチ陣、選手たちは本当に素晴らしかったし、すごくワクワクさせてもらえて、心から感謝しています。
来年が楽しみです。

4.恩塚さん

僕は当初から恩塚さんを応援しています。
バスケの指導者として尊敬していますし、人として、組織のリーダーとして、こういう人になりたいと思っています。
僕のなりたい自分。ロールモデル。

高崎でのデンマーク戦から良いたたかいが続いていたので、今大会はツイッターのアンチ勢も静かでとても過ごしやすかったです。

変わることや変えることを恐れない人なので、まずそこに好感を持っています。
高圧的な指導で実績を残した人がそれを180度変えるって、僕も通った道だけど、そうしたいと思ってもなかなかできないことです。
そこを乗り越えた人だから、戦術面においても最高の結果を求めて今までのやり方をぶっ壊して変えることに、抵抗はないはずなんですね。

去年のワールドカップでは頑なにやらなかったツーガードを、今回は多用しましたね。
異常なタイムシェアも前回と変わりました。
選考も含めて、今回うまくいかなかったところは次回また変えてくるはずです。相手も変わりますし目指すところも変わりますから当然です。

それから、過去の大会では、恩塚さんはベンチ入りメンバー12人のうち10人くらいでローテーションすることが多く、あとの2人は(言葉悪いですけど)干される感じだったのが、今回は12人をフルに活かしていました。
おそらく今までもそうしたかったのが、コロナ禍でいろんなことが思うようにいってなかったということだろうと思うのですが、そんな起用を見ても、恩さんの理想にグッと近づいたという印象を受けました。

4.渡嘉敷来夢選外の衝撃

そして今回の選考では渡嘉敷来夢選手の選外が、いろいろと話題になりました。
この理由についてはわかりませんが、頻繁な選手交代をする中で、誰が入っても同じような戦術でやりたいけれど、渡嘉敷さんはいろんな意味で特殊な存在なので、理想とするバスケができなかった、ということだと推察しています。
代わりに入った朝比奈さんの今回の起用法を見ていると、後半途中からのクローザーみたいな役割で、場合によってはディフェンス部隊なので、さすがにその役割を、日本バスケ界を引っ張ってきたレジェンド的存在の渡嘉敷さんにやらせるわけにはいかなかったのかな、とも思います。

世代的に、男子サッカーの1998年ワールドカップのメンバーから三浦知良選手が外れた時のことを思い出さないわけにはいきませんでした。

「外れるのは、カズ、三浦カズ、、、。」

城彰二をフォワードの柱と考えていて、交代では他の選手を使いたい、というのが、その時岡田武史監督が明かした理由でしたけど、渡嘉敷さんの一件はそれと似たようなものを感じました。

そしてこれは、恩さんが意図したものではなかったと思うけど、日本バスケを引っ張ってきた渡嘉敷来夢さんが外れたことで、メンバー入りした選手たちへの精神的な影響もかなり大きかったはずです。
責任感とか覚悟とか、そういうものは確実にプラスに作用したと僕は感じています。
今回のチームは本当に良いチームだったけど、その効果は大きなものでした。

三浦知良も渡嘉敷来夢も、いつか代表チームの構想外となる時が来る。今回その決断を下した恩塚さんの勇気と覚悟には拍手を送りたいです。


5.アジアの勢力図


ニュージーランドがベスト4に躍進し、韓国がOQTの出場権を逃すという波乱の大会となりました。
かつては日本のライバル的存在だったこともあるチャイニーズタイペイが8位に沈んでディビジョンBに降格。レバノンが7位でディビジョンAに残留します。
アジアの勢力図がまたすこし変わりそうな予感のする最終順位となりました。
アラブ系のひとは体もがっしりしてるので、レバノンみたいに西アジアのチームが本気で強化に乗り出してきたら脅威になりそうです。
それはバスケに限らず全ての女子スポーツがそうかもしれませんが。

日本はそんな中で6連覇を逃したとはいえ、中国以外には圧勝して強さを示してくれました。


6.日本

それでは今回のメンバーを。
短い活動期間だったけど好きでした。ありがとう。

3 Stephanie Mawuli


全試合スタメン。もはや代表に欠かせない選手。
停滞した状況をひとりでぶっ壊せるポテンシャル。
世界が舞台。もう、Wリーグには戻ってこないでください。
永遠に語り継がれるブロック。

8 Maki Takada

ハンさんに対するディフェンスはお手本のようでした。
この人がしっかり守ってくれたからたたかえたし、やっぱりまだまだ髙田真希。ありがとう。


12 Azusa Asahina

渡嘉敷さんの代わりにメンバー入りして、プレッシャーあっただろうけど堂々としていましたね。
練習してきたというスリーポイントもしっかり決めてました。
高田渡嘉敷に次ぐ世代がなかなか出てこなかった日本のビッグマン事情ですが、思ってたよりも早く、朝比奈さんが台頭してきてくれそうです。(個人的には梅沢さんに大きな期待をしていますが。)
学生バスケを観ないのでほとんど知らない選手だったのですが、育成枠ではなく戦力としてやってやろうっていう姿勢を見せてくれたので、これからも期待して応援していきたいです。

かっこいい!

15 Nako Motohashi

オリンピックの時みたいに流れを変えられる存在として、素晴らしい貢献でした。
MVP級の爆発はなかったけど頼もしかった。
まだまだやれる!
決勝でもっと見たかったけれど、交代しづらい展開だったし、仕方ないですね。

↓早織さんとの相性の良さは、新たな日本の得意技になりました。

23 Mai Yamamoto


アジアのマイヤマモトから世界のマイヤマモトへ。
決勝では、連続で失点した後にパスミスしてたりしてたので完璧ではないけれど、ゲームメイクの点でも手ごたえは感じてるようなので、まだまだ伸びしろがあります。
マイヤマモトの時代が始まってしまいました。

27 Saki Hayashi

たぶん恩塚さんのバスケは林さんのやりたいバスケではないのだけれど、それでもキャプテンとして必死に貢献しようとしている姿には胸を打たれますね。
ディフェンスでハッスルし続けて、スリーポイントもしっかり決めて、決勝では12得点。

31 Aika Hirashita


グループリーグの3試合ではしっかり得点も取れていた21歳。得意のスリーポイントとディフェンスの、さらなる伸びしろに期待しています。
↓このスリーポイントは、FIBAの好みだったみたいです。

32 Saori Miyazaki

やっぱりこのひとのプレーが好き。
速くてしなやかでやわらかくて美しい。ときどき力強い。
今回はスタメンではなかったけれど、自分の役割も戦術もしっかり理解してチームを引っ張りました。
代表の経験値も豊富で大舞台にも強くて、怪我も少ないし頼もしい。まだまだ向上心も持っていそうだし、これからも楽しませてもらいます。
ありがとう。

59 Anri Hoshi

初めての代表でしたけど持ち味をしっかり出して、堂々としていて頼もしかった。
これからは欠かせない選手になれそうです。

75 Nanako Todo

デンマークとの試合を見ていて、このひとはやっぱり凄い!と思いました。
凄いのは前から知ってたしいまさらなんですけど、僕自身もオリンピック以降経験積んで目が肥えてきて、いろいろわかるようになってきたし、確実にWリーグの時より代表のなな子の方が凄いんだよ。
蛙飛びアッパーみたいな動物的なバネがあるから、どんなふうにフィニッシュ持っていくかという、ボール持ったときのワクワク感。得意のディフェンスも健在。
これからもなな子の未来にワクワクしています。ありがとうございます。
決勝戦はプレータイム短くて残念だったけど、ディフェンスセットで起用される信頼感。

こちらはデンマーク戦の、かっこいいプレーです。

88 Himawari Akaho

フィリピンとの試合だったかな、だいぶ点差が開いた試合終盤に、執念で食らいついたブロック決めて、そういうプレーは好きなので嬉しかったです。
目先の1勝だけではなくしっかり先を見据えてるからできるプレー。頼もしさよ。
前回大会のMVPが今回も、オールラウンドにポテンシャルを発揮してくれた。早く海外にチャレンジしてほしい。
これはフィリピン戦の3ピリのブロック。

99 Monica Okoye

ディフェンスは、髙田さんに及ばないかもしれないけど、スリーポイントと積極的なアタックが持ち味で、好不調の波はありそうだけど、ぶっ壊すプレーは随所に見せてくれました。
オーストラリアのリーグでプレーするそうで、頑張ってほしいです。


Toru Onzuka

当初から、ときどき考えることがあって、それほど読者も多くないただのファンブログだから書いちゃうけど、恩塚さんは「繋ぎ役」なんじゃないかと思う時があるんです。

野村監督と星野監督の間で1年だけ楽天イーグルスの監督を務めたブラウン監督のように。
ようするに、オリンピック銀メダルの後は誰であろうとプレッシャーあってやりづらいから、ひとり捨て駒を挟んで、そのあとビッグネームを招聘しよう、という計画なんじゃないかと、ときどき真剣に考えるんです。

恩塚さんは、ブラウン監督なんです。

技術委員長の東野さんは頭の良い人だし、長期的なビジョンは持てると思うんです。
もし本当にそうだとしたら、東野さんにとっては2021年のアジアカップ優勝は、嬉しい誤算だったはずなのです。
21アジアカップと22ワールドカップで結果を残せずに、その後ルーカス・モンデーロに声をかけるプランだったかもしれないので。

もうひとつ、良い方に捉えると長期政権ですね。
若くて人望のある指導者に、一貫性のある長期的なビジョンで代表を率いてもらおう、という。

しかし、もし長期政権を視野に入れているのだとすれば、ヘッドコーチひとりに背負わせるのは違うだろ、とは思ってます。

協会とリーグと現場のスタッフが一体となる必要があって、でも今はそうなれてるようには思えません。
代表チームの活動に充てられるはずだった2月の空白期間は世代別のエキシビションマッチで誤魔化されてしまいました。あれはあれで有意義ではありましたが。
直前の強化試合の相手が格下のデンマークになってしまったことは仕方ないかもしれませんが、強化合宿も遠征も帯同人数はかなり制限されてるし、恩塚さんのやりたいチームづくりができているようには感じられないんですね。


で、恩塚ファンとして僕が何を望んでいるかと言えば、同じ働き盛りの40代があんまり苦しんでる姿は見たくないので、これからも楽しく頑張ってほしいな、ということくらいです。
バスケで日本を元気にすることは、代表ヘッドコーチではなくてもできるので、その職がつらくて苦しいなら他で活躍する姿が見てみたい。

ただその一方で、世界一を今も本気で目標としているみたいなので、勝算があるなら最後までやり切ってほしいし、それを応援したい思いはあります。

アンチも多くていろいろ厳しい方です。
恩塚さんは好きだけど、正直言って恩塚さんのバスケが好きかっていうと、僕もそうでもないかもしれないです。
でも身長が高い方が有利な競技で、体格差で劣るチームが1番を取ろうとしているのだから、今までやったことのないようなバスケにチャレンジするのは当たり前のことだと思っています。
大きなチャレンジを、これからも応援していきたいです。




今日もありがとうございました。

それではお聴きください。

恩塚亨 公式応援ソング
エレファントカシマシ『新しい季節へキミと』

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