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下北沢で会いましょう

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コワーキングスペース「ロバート下北沢」のオーナー・原 大輔が綴る、ロバート下北沢を作ったワケ。そこにはいろんなものが繋がっているストーリー。
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2020年8月の記事一覧

【第16回】無色透明からカラーになった瞬間

あと30ページ分を印刷に入れて終了というその日の夜、事件は起こった。 作業していたMacの画面が突然ブラックアウト...。 いまでは考えられないかもしれないが、20年前のMacは突然フリーズする「爆弾マーク」というものが出ていた。 グラフィカルに「爆弾」が出て、かわいいね〜なんって言ってる場合じゃない。 30ページ分のデータが一気に吹き飛んでしまったのだ。校了まであと5時間くらい、その時、俺は...。 そばのソファにふて寝してしまった。 もう寝るしかなかった。知り合い

【第15回】溜まり場からクリエイティブ集団の誕生前夜

まるまる1冊をつくるというのは、俺としても初めての試み。 仲間が結集して、編集、撮影を行った。モデル撮影、カタログページ。自分たちの理想をぶつけたのは面白かった。 デザインもアシスタントのコイミーの友人たちを集めてもらって、8畳のボロアパートに寝泊まりしながらあーでもないこーでもないと進めていった。 無事、本も出来上がり、ギャラのすったもんだはあったものの1冊を仕上げた安堵と高揚感はいまだに忘れない。 代々木に屯っていた仲間たちとの共同作業をやり終えて、俺の記憶だとここ

【第14回】代々木へ、こども向けからアダルトまで

カメラマンのMに手をひっぱられつつ、代々木駅周辺で5万8千円のアパートの2階を借りることになった。 近所の材木屋で板を買ってきて、自分たちで床を張り替え(大家には言ってない)、壁にペンキを塗って、机を組み立てて事務所らしくなっていった。 代々木時代の5万8千円のボロアパート。色がきれいに塗り替えられていた。階段を上がった2階が俺たちの根城だった。 仕事は相変わらずそんなに無かった。恵比寿のニートから現実へ引き戻してくれたカメラマンのMは相変わらず忙しそうだった。 引越

【第13回】独立するものの...

独立の前に、経緯を少しばかり。 2年で独立することは決めていたが、やはり少しは悩んだ。 転職活動なども一応はやってみた。その中の1社、音楽制作事務所のアートディレクターの職に受かったのだが、独立⇄転職で俺の心は揺らいでいた。 当時インディーズレーベルの仕事をしていた先の音楽出版の会社の方に相談をしたところ、どうもその音楽制作事務所はヤ○ザ絡みであまりいい印象ではなかった。 ここでエイヤーとそこに飛び込むか、それとも独立か。 最後の頼みは、そう「占い」。当たるも八卦、あたら