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【予想ドラフト2021】 #ヨソドラ 中日陣営の指名を振り返る

皆さん、こんにちは。今回は2021年10月6日から10日にかけて行われた予想ドラフト、ヨソドラの中日陣営の指名についてnoteしていきたいと思います。

ヨソドラとは何か?については、主催者であるARAさんのnoteをまずご覧ください↓

私は昨年に引き続き、今年も中日ドラゴンズの担当者として参加させて頂きました。各チームの担当者は一緒に指名を考えてくれるサポーターをつけることができるので、今回も昇龍 (@7580dragon)さんという強力なサポーターをつけて指名に臨みました!

最終的に中日陣営が予想した指名選手は下記になります:

▽ヨソドラ 中日陣営 指名選手
1位 ブライト 健太 外野手 上武大学
2位 北山 亘基 投手 京都産業大学
3位 山城 響 内野手 富士大学
4位 石森 大誠 投手 火の国サラマンダーズ
5位 高木 翔斗 捕手 県立岐阜商業高校
6位 代木 大和 投手 明徳義塾高校
7位(救済枠) 鵜飼 航丞 外野手 駒澤大学
育成1位 川嵜 陽仁 投手 誉高校

それでは以下で、今回の指名に至る分析と実際の指名の裏話についてnoteしていきたいと思います。


●指名戦略の予想

まず始めにどのような指名戦略の予想に基づき指名に至ったか?ですが、こちらは以下の記事で詳細にまとめておりますのでご一読ください。

基本的にはこちらの記事内で行われたチーム編成の分析ステークホルダーの分析を基に作成した、以下の指名戦略を用いて指名を進めていきました。

スクリーンショット 2021-10-04 1.09.10

ここからは実際の指名の際に陣営内でどのような会話が行われていたか、また各指名順においてどのような選手をリストアップしていたかも合わせて紹介していきたいと思います。


●1巡目指名: 「野手BIG3」の中でも最有力候補と目される、ブライト健太選手に入札

まず初回入札は計画通り、ブライト健太選手(上武大)に決定しました。現時点で指名公言は出ていないものの、中スポの下記記事にあるようにドラフト会議直前のリーグ戦を松永編成部長、米村アマスカウトチーフと編成部のツートップが揃って視察している点でかなり高い期待値を持っているだろうと予想。

地元の圧倒的な1位候補不在、さらに補強ポイントへの一致度の高さのみならず、中日スカウト陣が重視する「野球に対する取り組む姿勢」にも高評価を与えていることから、ブライト選手への1位指名は堅いと確信しています。

今年は高卒投手と左の即戦力投手が1位指名競合級と予想されていたため、ヨソドラでもブライト選手の指名で競合はまずないかなと考えていましたが、蓋を開けてみると12球団の1巡目入札は下記の通りとなりました:

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なんと6球団が小園健太投手(市立和歌山高)に集中。さらに森木大智投手(高知高)にも3球団の入札が集まるなど、高校生投手への高い期待値が如実に表れる結果となりました。

さて我々が入札したブライト選手はというと、予想通り入札はウチだけで見事一本釣りに成功!本番もこうなるといいなと思いつつ、左うちわで他球団の外れ1位、外れ外れ1位指名まで見届けました。最終結果は以下の通りとなります。各球団とも入念に指名予想を組み立てただけあって、ファンから見ても「ありそう」な結果になっているとは思いませんか?

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*ちなみに初日が終了した後に、西武は隅田知一郎投手(西日本工業大)、ソフトバンクは風間球打投手(ノースアジア大明桜高)の1位指名を公言しています。
西武が12球団最速で西日本工大・隅田知一郎の1位指名公表 150キロ左腕に渡辺GM「満場一致の評価」
ソフトバンク風間球打ドラフト1位指名明言 王会長「将来的にはエースに」


今回ブライト選手の交渉権獲得に成功したことで、2巡目以降の指名は「シナリオA」に沿って進めていくことになりました。


●2-3巡目指名:即戦力左腕もコア候補高卒野手も、全て目前で指名される憂き目に・・

続く2巡目指名は、シナリオAに従って「即戦力投手」の獲得を目指しました。今年は大学・社会人の左投手が特に豊作ということもあり、左投手を優先に以下の投手をリストアップしていました:

▽2巡目指名候補
佐藤 隼輔(筑波大)
山田 龍聖(JR東日本)
桐敷 拓馬(新潟医療福祉大)
北山 亘基(京都産業大)
山下 輝(法政大)
椋木 蓮(東北福祉大)

ただ佐藤、山田龍投手は1巡目で既に指名済み。さらに山下投手は4つ前のDeNAの2巡目で、桐敷投手は2つ前の広島の2巡目で指名されてしまい、リストアップしていた左投手が全て指名順が来る前に指名され尽くしてしまいました。

他に3巡目候補として森翔平投手(三菱重工WEST)の指名を検討しており、2巡目へ繰り上げるかの議論も行いました。ただ2巡目指名候補最上位の北山投手と比較した時のスカウトコメントの評価度合いを考慮して、左右に限らず良い投手から指名していくという形で北山投手を優先することとしました。

北山投手は米村アマスカウトチーフが「今年の大学生右腕では一番いい」と発言するほどの高評価を得ています。過去の指名傾向と照らし合わせても、編成部が現体制になった2018年以降、2巡目はすべて大学生投手の指名で、かつ例年3巡目までの上位指名で大学・社会人出身の右腕を指名していることを考えると、大卒右腕ナンバーワン評価を得ている北山投手の指名は十分あり得ると思われます。

開幕からバリバリ活躍という姿は描きにくいかもしれませんが、一年目から一軍先発枠の一角を争える存在だと思います。


続く3巡目指名では、以下2通りの指名パターンを検討していました:

①Aパターンに沿った「コア候補野手」かつ地元選手として、前川右京選手(智弁学園高、三重県出身)を指名
②2018、2019年のような野手→(大卒)投手→(社会人)投手の流れを再現して前述の森投手を指名

3巡目指名が回って来るまでが長いので、次こそはリストアップしていた選手を指名したい・・この二人だけは呼ばれるな・・!と陣営内で祈っておりました。

ただ折り返し3巡目指名が始まって暫くしたのち、中日の4つ前の阪神の指名で森投手が、2つ前の巨人の指名で前川選手を指名されてしまいました・・。

ここまでプラン通りにいかないのは正直想定外でしたが、回ってきた3巡目では補強ポイントに合致する二遊間の選手として山城響選手(富士大)を指名しました。3巡目は内野手が指名されることが多い指名順です。さらに某やまけんさんからの情報で、直近の試合で八木智哉スカウトだけでなく松永編成部長、米村チーフが揃って視察に訪れていたことがわかっていたため、編成部内での評価・注目度は高いと判断しました。

山城選手は二遊間に加えて外野も守るユーティリティ性と、春にリーグ最多本塁打を記録するほどの長打力を備えます。レギュラー陣に加え中堅・ベテランの控え陣である程度一軍戦力が確保できている中日ですが、揃って打撃面で停滞気味かつ長打不足のため、山城選手の加入はチーム内の競争を促すことに繋がるはずと思っています。

3巡目までの指名を終えて、大卒選手が3人続く形になったのは正直現実として起こる可能性は高くないと思います。特に3巡目は高校生の指名を挟む可能性の方が高いのではと思いますが、今回は指名全体で実現可能性が高いかということよりも、順位に限らず個別の選手が指名される可能性や根拠に目を向けてもらえればと思っています。


●4巡目指名:またも目前で予定していた選手が指名!長考の末、「攻めた」指名を敢行

続く4巡目指名では、プランAからA2に切り替えて3巡目で指名できなかった将来のコア候補+地元選手の指名を目指しました。前川選手に加えて阪口樂選手(岐阜第一高)も指名済みだったため、4巡目では田村俊介選手(愛工大名電高)を最有力候補としてリストアップ。今度こそ取られるなよ・・と祈ってましたが、またしても中日の3つ前の日本ハムの指名で先に取られてしまいました・・。二刀流の希望を持っている田村選手が日本ハムに指名されることはある程度想像できたため、3-4巡目の指名は逆にしておいた方が良かったのかもしれません。

ここで中日陣営は長考に入ります。4巡目の他の候補としては、ここまで大卒選手が続いていることを考慮して高卒投手のリストアップを開始しました。その中で最上位に名前が挙がったのが石田隼都投手(東海大相模高)です。米村チーフからも高評価のコメントが出ており、過去に甲子園を制した清水達也投手を17年の4巡目で指名していることも考慮して指名直前まで行きました。

ただチームには小笠原慎之介が高校の先輩として既に在籍していること、さらに左投手で被っており年齢も6つしか違わないことがネックとなりゴーサインを出すことが最後までできませんでした。

そうなると高卒投手で他に有力な指名候補を探すことは難しく、代わりに名前が挙がったのが石森大誠投手(火の国サラマンダーズ)でした。独立リーグの投手の支配下での指名は2013年(又吉克樹)、2014年(山本雅士)まで遡り、編成部が現体制になって以降は一人もありません。ただ火の国球団のピッチングGMが元ソフトバンクの馬原孝浩氏であり、中日の九州担当スカウト・三瀬幸司氏とはドラフト同期の決して浅くはない関係であることを考慮して、指名の可能性はあるのでは?と予想しました。石森投手は米村チーフが複数回視察に行っていることも分かっており、攻めた指名ですが決して根拠のない無謀なものではないと思っています。

石森投手は制球面に課題を抱えているようですが、左投手で最速155キロは規格外のポテンシャルで、積んでるエンジンは間違いなく本物。左のリリーフが手薄な中日のブルペンに、近い将来必ずフィットする存在だと思っています。

これで4巡目を終えて、大卒選手と独立選手が合わせて4人も続く形になりました。繰り返しになりますが、指名全体ではなかなか現実的ではない並びだと思いますが、順位に限らず個別の選手が指名される可能性や根拠に目を向けてもらえれば幸いです。


●5-6巡目指名: 5巡目は安定の「地元枠」。6巡目は「隠し球枠」の予想は諦め、下位指名候補を広く予想する戦略に

続く5巡目指名では、安定の「地元枠」の指名を行いました。冒頭に載せた記事でも紹介しましたが、中日は2016年以降5巡目指名は地元出身の高校生を投手と野手で交互に指名しています。今年は野手の年のため、リストアップしていた選手の最上位にあった高木翔斗選手(県立岐阜商業高)を順当に指名しました。1巡目のブライト選手以降、これが初めての「想定通りの指名」となりました・・。

高木選手は中日ドラゴンズJr.出身のまさに「地元選手」ど真ん中と言った選手で、早くから中日スカウトはその打撃力に注目していたようです。守備面での課題はまだ見受けられますが、ドラゴンズに入団後は石橋康太、郡司裕也ら若手捕手が一軍出場機会を窺う中で、多くの二軍出場機会を得ることになりそうです。


支配下最後となった6巡目指名は、いわゆる「隠し球枠」の指名。視察情報もスカウトコメントも乏しい選手の指名が続く指名順ですが、今回のヨソドラではこの隠し球枠の選手を当てに行くのは非常に困難であると判断。よってピンポイントで6巡目指名の選手を予想するというよりは、下位で指名されそうな選手を広く指名するという戦略を採用することとしました。

5巡目指名まで高校生が一人しか指名されていない状況を考慮して、6巡目では高卒投手を複数人リストアップ。最終的には代木大和投手(明徳義塾高)を指名しました。代木選手は制球力を武器に名門校のエースを務め上げた左腕というだけでなく、打つ方では夏の甲子園で2ホーマーを放つ二刀流としても注目されてきました。

米村チーフも別の記事では「打者で評価している」とコメントしており、指名時は投手でもプロに入って以降は打者に転向している可能性も少なからずあると思います。中日は2020年の三好大倫、2019年の石川昂弥、岡林勇希、2018年の根尾昂と投手経験のある野手を多く指名する傾向にあるため、投打に才能溢れる代木選手の指名の可能性は間違いなくあると思われます。


以上、ヨソドラの規定である6巡目までの指名が終わりました。基本的に中日の指名は6人のため、実際のドラフトでも支配下での指名はここまでになることが予想されます。


●7巡目指名(救済枠): ブライト抽選外れ&2位狙い失敗を考慮して「プランB」の鵜飼を指名

上記の通り本指名は6巡目指名までですが、今回のヨソドラから「初回入札が当たった球団のみ七位まで可」という救済枠が設けられることとなりました。理由は下記をご覧ください:

何故一位入札を当てると支配下指名枠が増えるのですか?
⇒当ててしまったことでその後の身動きが制限されるためです。具体的には、くじ引きを外した球団はすぐに戦略転換に移れ、外れ一位や二位などを検討出来ます。一方で当てた球団は、二位が回ってくるまで選択肢が狭まります。実際の球団がくじを当てるか否かは読めないので、(結果を考慮せず)入札のみにポイントを付与し、当てたことによる不利益に救済策を設ける形にしました。
ヨソドラ開催概要noteより引用

中日陣営は、この救済枠を活用することにしました。1巡目入札はブライト選手の可能性が高いと見ていますが、例えば以下のようなケースではブライト選手以外の選手が指名される可能性があると判断しました:

①ブライト選手が1巡目で重複し、中日がくじを外してしまったケース
②ブライト選手は2巡目でも指名可能と判断し1巡目は左の即戦力投手に入札、ただ中日の2巡目までにブライト選手が他球団に指名済みのケース

この場合、現在の指名では上位指名において指名ポイントを得られない可能性が出てくるため、上記のケースにおいて外れ1位及び2巡目で指名されそうな選手を残っている選手の中から7巡目として指名することとしました。

中日陣営が迷わず選択したのは、鵜飼航丞選手(駒澤大)です。野手BIG3の一角として地元メディアを中心に多くの報道がされており、補強ポイントにも「地元選手」として親会社の意向にもフィットする鵜飼選手の「プランB」での上位指名の可能性は極めて高いと判断しました。

両翼の選手層が極めて薄い中日であれば、ブライト選手とのW指名の可能性もゼロではないかもしれません。確実性や守備面での不安は拭えませんが、長距離砲としての類稀なるポテンシャルは折り紙付きで、地元出身ということも合わせて間違いなく中日のドラフト指名候補の上位に位置する存在だと言えます。


●育成1巡目指名: 例年通り地元出身の好素材を確保

最後に育成1巡目では、地元出身の選手が指名されることが多いのを考慮し川嵜陽仁投手(誉高)を指名しました。

*3:59より、川嵜投手の紹介があります

全国的な知名度はそう高くなく、スカウトのコメントなどもありませんが、今夏の愛知予選・愛工大名電戦では7回7奪三振1失点の好投を披露。さらに前述の田村俊介選手から2三振を奪いノーヒットに封じるなど、その高い能力を存分に見せつけました。

地元出身の好素材、となると他にも多くの選手の名前が挙がりますが、川嵜投手の場合は以下の野球ライター・尾関雄一朗さんのツイートでも取り上げられていたため、指名可能性が他の候補選手より高いと判断し、指名に至りました。

実際に指名される確証はありませんが、上記のような情報も手がかりにするのがヨソドラの面白さであると思います。当日は育成指名まで楽しみにしたいと思います。


●まとめ

以上、ヨソドラの指名とその背景について振り返ってみました。全体の指名一覧と、各担当者のコメント・指名戦略は下記になります。


今回は昨年に続き二度目の「予想ドラフト」となりましたが、今年の指名は昨年と比べられないほど難しく、大変なものとなりました。笑

昨年は1巡目から4巡目から想定通りの指名を続けることができ、敢えて5巡目からアレンジを加える余裕すらありましたが、今年は2-4巡目で予定していた選手を先にかっさらわれる想定外の連続。サポーターである昇龍さんと苦しみ抜いたというのが正直なところです。

ただその中でも、限られた選択肢の中から現実に指名可能性が少しでも高い選手を選び抜くことができたのは、間違いないと思っています。指名全体の並びを見ると「本当に予想ドラフトなのか?」と疑問を持たれる方もいるかもしれません。ただ今回は指名全体のバランスよりも、あくまで現実のドラフトにおいて中日に指名されるかどうか、を判断基準に置いた指名を行なった結果のため、その点は考慮して頂けると嬉しいです。

・・・

最後に、今年もアマチュア球界に疎い私をドラフト候補選手への豊富な知識と愛情を持ってサポートして頂いた昇龍さんには、改めて感謝申し上げます。またお誘い頂いた主催者のARAさんも、本当にありがとうございました!

そしてここまで読んで頂いた皆さんも、お付き合い頂きありがとうございました。ヨソドラの是非は実際のドラフト会議の結果を持って判断されることと思いますが、今回の企画を通して今年の中日のドラフトについて考える一助になれば嬉しいです。

ご意見・ご感想、疑問・質問、批判や賞賛などなんでも受け付けておりますので、是非お気軽にコメント頂けると嬉しいです!


以上、ロバートさんでした。
ありがとうございました!


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