打順表

2017年型・中日ドラゴンズ新オーダーを考える

先日Twitterで以下のツイートを見かけました。

DeNAラミレス監督が2017年シーズンの打順パターンとして2案提案したのを受けて、色々なパターンを想定してオリジナルの打順案を提案したものです。プロ野球ファンにとって、贔屓のチームの打順を考えるのはとても面白いものです。私もすっかり蘇龍さんのツイートに触発されてしまったので、今回ドラゴンズの打順について考察した結果をnoteしたいと思います。

2016年の基本形から考える「最もありそうな」3パターン

まずは2016年はどのような打順が多く組まれていたか振り返ってみましょう。以下は各打順ごとに最も打席数が多かった選手を挙げたものです。

1 CF 大島 574打席
2 2B 荒木 268打席
3 RF 平田 286打席
4 1B ビシエド 461打席
5 LF ナニータ 281打席
6 3B 福田/高橋周 107打席
7 SS 堂上 353打席
8 C 杉山 266打席

ほぼほぼドラゴンズファンのイメージ通りの打順ではないでしょうか。1番は大島がほぼ固定。2番はセカンドを守る選手が入ることが多く、荒木が最多でした。クリーンアップは4番のビシエドを軸に平田ナニータが脇を固め、6番は序盤覚醒の兆しを見せた高橋周平と、中盤からレギュラーに定着した福田が多く打席に立ちました。7番は昨季ついに規定打席に到達した堂上、8番キャッチャーのポジションは中盤まで杉山桂の競争でしたが、最後は杉山がメインで試合に出ること多くなりました。

今季は上記の打線からナニータが抜けゲレーロが加入。また福田は怪我の影響でファーストしか守れません。2016年の基本形を踏襲した上で、2017年予測される3つのパターンを考えてみました。基本的にはポジションのかぶる1B, 3B, LFをどの選手で回していくかを想定しています。その他のポジションに関しては、現時点で昨年の基本形からレギュラーは大きく変わらないだろうと想定しています。

A案は3Bのレギュラー競争でゲレーロが勝利し、1Bでは福田が昨季後半からの好調を維持した場合を想定しています。B案では逆に高橋周が覚醒しゲレーロがハズレだった場合を想定。さらにC案では、福田が肩の怪我から復活できず、ビシエドが1B、3BとLFは競争のポジションとなることを想定しています。昨季後半戦から谷繁→森繁と体制が変わっても打順が大きく変わらなかったのを考えると、春季キャンプ・オープン戦で若手選手の強烈なアピール(石岡は連日打撃練習でエゲツない打球を見せていますが)がない限りは、上記の3案が基本になるのではと思います。

2番に「セカンドの小兵選手」は正しい戦略か?最適打順を考える

次に採用される現実味は低そうですが、効果的だと考えられる打順について考えていきたいと思います。効果的な打順論というのはセイバーメトリクス界隈でも頻繁にも議論されており、これまで様々なアイデアが議論されてきました。例えばMLBでは2番打者最強説がよく唱えられていますし、日本では4番打者最強説が未だ根強いでしょう。またNPBの各チームにおいても打順の組み方にはそれぞれ特徴があるようです。以下の記事に詳しく紹介されているので、まずはそちらをご確認ください。

2番打者には強打者を… よく聞く説の根拠とは?
https://full-count.jp/2015/08/07/post15318/

打順の組み方を眺める 2016年セリーグ編
http://ranzankeikoku.blog.fc2.com/blog-entry-2356.html

上記Full-Countの記事を参考にすると、重要なのは1~5番の上位打線にチームのTOP5の打者を置く、ということのようです。より多く打順が回ってくる1~5番にチームの実力者を集中して配置することは、感覚的にも効率的なように感じます。

その点を考慮してドラゴンズの打線を見ていきます。まずぱっと頭に浮かぶのは、「2番荒木は適切か?」というところでしょう。荒木は昨季チームで一番多く2番打者として起用されましたが、打撃成績は打率.246のHR1本、OPS.581ととてもチームのTOP5の打者とは言えません。それどころか250打席以上の打者の中で、荒木はチーム最下位のOPSでした。「打順の組み方を眺める 2016年セリーグ編」の記事にもあるように、打撃成績の振るわない彼を2番に据えたことで上位打線に穴が空いてしまい、その結果チームの得点力に影響を与えてしまったと考えます。「俊足巧打でバントも華麗に決める選手」というのが日本のチームにおける2番打者のイメージですが、効率よく得点を積み重ねるには、そうした固定観念を捨て去って、最適な打順を組むべきでしょう。

それでは以下で、「1~5番にチームのTOP5の打者を並べる」ことを念頭において、2017年ドラゴンズの最適打順を考えてみたいと思います。

大島平田ビシエドに、ゲレーロ福田を加えた5人が2017ドラゴンズのTOP5だ!

まずチームのTOP5の打者は誰かという話になりますが、私は大島平田ビシエドの昨季レギュラー3人に加えて、後半戦安定した働きをした福田と、新加入のゲレーロを選出しました。理由は単純明快、昨季250打席以上立った選手の中でOPS上位4名(ビシエド、平田、福田、大島の順)+年俸1億5,000万円の新外国人への期待です。OPSは大島以下で行くとナニータ、杉山、高橋周と続きますが、退団したナニータ以下の二人はリーグ平均にも達していないため、TOP5に加えるべきでないと判断しました。

上記Full-Countの記事を参照すると、セイバーメトリクスの理論上は以下の打順が最適となります。

最も優れた打者として、現時点では昨季レギュラーの3人を選びました。出塁率チームトップの平田が1番、長打率チームトップのビシエドが4番、そして併殺回避能力の高い、昨季併殺打わずか3つの大島を2番としました。第二群の打者として福田を3番、ゲレーロを5番に据え、6番以下は打撃の期待度順に上から並べています。

昨季ベースの極めて「ありえそうな」打順とは大きく乖離しているため違和感を感じる人が多いかと思いますが、理論上はこちらが最適と言えるでしょう。

セイバー理論にスパイスを。打球傾向&打者タイプを含めた「最適打順」考察

ただ理論値が常に機能するわけではないのが世の常。理論上は正しくても現実のプレーで得点力に還元されるかはまた別の話です。谷繁監督も昨季開幕前は1番荒木2番大島3番遠藤という構想を持っていて、オープン戦でも積極的に試していましたが、開幕してみると1番と2番が逆になり結局「定位置」に戻ってしまっていました。また「大島は四球を選ばず状況判断せず自由に打つタイプだから2番は向かない」という意見も多くあります。以下では、理論優先型の打順をベースに、打球傾向や打者タイプも踏まえてより良い打順について考えていきます。

まず1番平田2番大島の並びについて。こちらはやはり逆にすべきだと考えます。理由は大島のゴロ率の高さ。出塁率の高い平田を塁に置いたとしてもゴロが多く、次の塁に効率よく走者を進めるという点において期待できないからです。また走者一塁時には通常ファーストがベースにつくため一二塁間のゴロがヒットになりやすく、左打者の打率は上がりやすいものですが、大島は昨季走者一塁時は.263と打率を下げています。また大島選手は四球は選ばないものの苦手コースなく広角に広く打てるアベレージヒッターのため、たとえ四球は多くなくとも安打数が多くトータルの「出塁数」はリーグ上位レベルのため、1番タイプであると言えます。

1番が大島で固定されるとすれば、2番平田にも好影響を与えると考えます。まず平田はフライヒッターのため、出塁した走者を次の塁に進める能力は高いと考えます。さらに大島は盗塁企図が多いため続く打者には速球中心の配球が考えられますが、平田は昨季リーグでもトップレベルの速球への対応力を披露。四球を多く選ぶ待球型のため大島の盗塁をアシスト&甘い速球が来れば長打も期待できる、理想の1, 2番になれる関係かと思います。昨季ともにFA権を獲得しながら残留を決めた「チームの顔」により多く打席を回すのは、あらゆる面でプラスではないでしょうか。

次に検討すべきはチームの最強打者・ビシエドの前後を福田、ゲレーロをどのように配置すべきかになります。理論上は3番福田、5番ゲレーロとしましたが、こちらは変更なしでも良いと考えます。理由はズバリ、福田が落ちる変化球を弱点としないからです。各種データを参考にすると、平田やビシエドがアウトローの変化球(いわゆる外スラ)を弱点にしているのに対し、福田は逆に低めの変化球を得意としていました。福田は弾道の高いスラッガータイプのため、落ちる変化球には合うのでしょう。一方で平田ビシエドは速球特に高めを得意としているのに対し、福田は高めのコースを苦手としています。このようにタイプの同じ打者を続けるのではなく、相手投手には常に攻め方を変えさせるよう変化を持たせるのが重要と考え、ワンクッションとして3番福田を提案します。また現時点ではゲレーロの日本野球への対応がどうなるかはわかりませんが、典型的な外国人は落ちる変化球には弱いと思われる(MLBでもそのような傾向が見られた)ため、平田ビシエドゲレーロと3人続けるのは避けるべきだと考えました。2年目のビシエド、そしてゲレーロの少なくともどちらかが高低の攻め及び外スラに対処できれば、この打順は十分機能すると考えます。

セイバー理論をベースに色々な想定を。セカンド周平は最後の手段か?

最後に上記のセイバー理論+選手タイプ考慮型から色々な想定を行った下記5タイプを提案したいと思います。TOP5の打者がチームから抜けるとどれだけ痛いか、そして我が軍の打撃陣の層がいかに薄いかをしみじみと実感してもらえるかと思います。笑 高橋周平をセカンド起用したくなるのもわかりますね。今キャンプではサード一本で練習しているようですが、若手選手と比較して一人ずば抜けた打撃を披露している彼の起用オプションが増えると、攻撃力の面だけ見ると大きなプラスのように感じます(セカンド&外野守備は置いといて)。またTOP5に規定打席到達経験のない福田を入れざるを得ないというのも苦しいところですね。肩の怪我のため今季からファースト一本で勝負するとのことで、まずは二軍キャンプからのスタートですが、もう下でやることは何もないかと思いますので、しっかり調整して早く戦線復帰して欲しいところです。福田の経験値がリセットすることについては・・考えたくありません。笑

春季キャンプも早いもので第1クールが終了しようとしています。上記で挙げている選手の他にも、サク越え連発で猛アピールしている石岡や、高いミート力と堅実な守備・圧倒的なスピードを披露しているルーキー京田など若い選手も少しずつ出てきているなというのが個人的な印象です。開幕まであと2ヶ月弱。上記想定を超えるような、若手選手の台頭に期待したいと思います。

引用、参考:
1.02 Essence of Baseball
http://1point02.jp/op/index.aspx
データで楽しむプロ野球
http://baseballdata.jp/

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