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【広島から世界へ】 広島ボランチの最高傑作・川辺駿

広島で生まれ、広島で育ち、サンフレッチェ広島の大黒柱にまで成長し、A代表にも選ばれた川辺駿の、直近約2年での飛躍的な成長について、個人的な印象を書いていこうと思う。


プロフィール

川辺駿 1995年9月8日生まれ 25歳

小学生の頃は地元の強豪チーム、広島高陽FC(渡や増田も在籍していた)でプレー。中学生の頃はサンフレッチェ広島Jrユース、高校生の頃はサンフレッチェ広島ユースでプレー。

2013年、当時高3からサンフレッチェ広島のトップチームに登録され、途中ジュビロ磐田へのローン移籍もありながら、2021年途中までサンフレッチェ広島でプレー。2021年7月からスイスのグラスホッパーに在籍。

ボランチを主戦場としながらも、トップ下やシャドーなどの攻撃的なポジションの経験もあり。

大先輩・青山敏弘からも絶賛されるほどの実力者で、チームメイトからも慕われる人格者でもある。


プレースタイル

サンフレッチェでは2ボランチの一角としてプレーする川辺だが、彼の大きな特徴は、その攻撃センスにある。

豊富な運動量と適切なタイミングで3列目から攻撃参加をする彼の攻撃センスは前線に厚みと選択肢をもたらし、サンフレッチェにとって欠かせない攻撃のパターンとなっている。

特に、オープンになりがちな試合終盤でも、持ち前のスタミナでカウンターから貴重なゴールを決めるイメージが強い。直近では5月のガンバ大阪戦での決勝ゴールは見事なカウンターからの得点だった。



また、ルーズボールへの反応の速さ、ボール奪取能力も彼の魅力だろう。

身長こそ178cmと特別大きいわけではないが、素早い攻守の切り替えと巧みな体の使い方によって中盤でのセカンドボール回収、トランジションの場面で存在感を発揮する。

昨季のアウェー鹿島戦では、日本代表選出歴もある三竿相手に対等に渡り合い、中盤の支配者として君臨した。今季はチームのシステム変更の影響もありボランチへの負担が大きくなっている中でも、見事に対応しており存在感は増す一方である。


川辺の真価とは

攻守において抜群の存在感を発揮し、川辺がいるといないでは試合内容が大きく変化するという事実からも、彼がいかに優れた選手であるかが窺える。


では、そんな彼の真価とは一体何なのだろうか。


豊富なスタミナか。前線の選手顔負けの攻撃センスか。それとも対人守備能力か。


どれも彼の素晴らしい特徴であることは事実だが、個人的に


彼の真価は「成長力」にあると思う。


幅の広い表現になってしまったが、それほどに彼の真価が壮大であるということを感じてもらえると嬉しい。


それでは、私がなぜ彼の真価は「成長力」にあると述べたのか、説明していこうと思う。


川辺の成長過程を振り返る


(ここから文体をいつもの形に戻します。気にせず読んでもらえたらと思います。笑)



昨シーズンまで

私が2年前、川辺を見て感じたことは、「少し粗削りだけど攻撃参加が出来るボランチ」でした。


実力者でベテランの青山とコンビを組むことで、ある程度ベクトルをチームではなく自身のプレーに集中させることができていたと思います。隣に青山がいることで勝手に比較してしまっている部分もありますが、ボールを持った時の落ち着き、パスの選択、視野の広さは、これから改善していかなければならない部分だと感じました。

それでも攻撃参加を恐れない勇気と決断力は要所で発揮していましたし、確実に彼の武器でした。


そんな彼は、豊富な運動量を武器に、「質」で劣っていた部分があっても「量」で対抗する、そんな時期がありました。

一度やってダメなら、二度、三度と挑戦する。彼にはそのスタミナがありましたし、青山が隣で支えてくれている事も非常に大きなことだったと思います。

その過程を経た頃、川辺は徐々に「量」だけでなく、「質」でも相手に勝るようになり、着実に存在感を増すようになりました。これがちょうど昨シーズンの中盤あたりだったと思います。前述した三竿との対決も、この時期でした。


この頃から川辺は「質」と「量」を兼ね備えた選手としてサンフレにとって欠かせない選手になりましたし、選手個人としても数段ステージを上げた印象があります。この飛躍によって川辺はJリーグでも屈指のボランチになったと感じていますし、決定的なゴールを決める回数も増えました。



今シーズン


そして今季も彼の成長は止まることはありませんでした。

今季はチームのシステム変更によって彼への負担が大きくなりましたが、そんな負担を軽く吹き飛ばし、縁の下の力持ちでありながら試合の主役にもなれるという、チームの大黒柱へと成長しました。


昨シーズンに得た自信もあってか、ボールを持った時の落ち着き、パスの選択、視野の広さは格段に向上しました。攻撃参加に一番の特徴がある、少し癖のあるボランチから、後方からボールを散らしてゲームメイクもできる「万能型ボランチ」へと成長しました。

これによって、低い位置に下りても、前線への攻撃参加によってもチームにプラスの影響をもたらすことができるようになりました。


また、今季の一番の彼の驚きはスペースに”飛び込む側”から、スペースや時間を”作る側”へと成長したことです。

ここまでも何度か述べているように、スペースと空間を見つけ、そこに飛び込んでいく攻撃センスが彼の一番の強みでした。

これは言い方を変えれば、スペースが無ければ、効果的なプレーをすることが難しくなってしまう、という側面もありました。実際に、スペースがない中で無理やりプレーをして、ボールロストをしてしまう場面はちらほらありました。

しかし今季はボール保持時の落ち着き、いなし方が向上したことで、スペースがあまりないところでもボールを受け、さばくことができるようになりました。

これにより、スペースがあまりなくても川辺のプレーによってスペースを作れるようになりましたし、何より、「時間」を作れるようになりました。


高い位置や狭い場所でも「時間」を作れるようになったことが今季の川辺の一番の成長だと思います。

この「時間を作る」という点において、ボールのキープ力が1つの焦点になるかと思いますが、この部分の成長はA代表に呼ばれる前と帰ってきた後でも変化がありました。

彼がA代表という場で具体的に何を学んだのかは分かりませんが、短期間で目に見える成長を遂げることができる川辺の真価が発揮された良い例だと思います。


ここまで彼の成長について書いてきましたが、この成長を成し遂げたことはもちろん、この成長を約二年という期間で成し遂げたことが、彼の「成長力」であり、彼の「真価」だと思っています。


ここまで述べた成長は川辺の成長における一部分に過ぎないかもしれませんが、個人的に1人のサポーターとして感じた印象は一通り書いたつもりです。


そして、

これほどの成長をこの短期間で成し遂げた川辺の「成長力」こそ、彼の真価であることが伝われば嬉しく思います。



最後まで読んで頂きありがとうございました。

このような形の文章を書くのは初めてだったので、上手く表現できていないかもしれませんが、少しでも自分の考えが伝わっていれば嬉しく思います。


川辺に限らず、Jリーグで活躍して代表に呼ばれれば欧州から評価をしてもらえる機会が増えましたし、選手個人にとっても、Jリーグ全体にとっても非常にポジティブな事だと思います。今後のJリーグ選手、日本でサッカーをしている少年達にとって夢と希望を与えられる存在であり続けてほしいなと思います。この夏に海外へ飛び立つ全ての選手の活躍を願っています。














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