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🪽母乳神話🪽

職場の女の子が産休に入ったのと
今月は長男の誕生日があるのとで
なんとなく子供が産まれた時のことを思い出している。

子どもが産まれるまで、私は母乳かミルクかについて深く考えたこともなかった。大きくなればどっちでもいいというスタンスだった。

産まれてみると、私の場合、母乳は簡単に出なかった。

私の母は、
「あきらめないで。あげ続ければ絶対出るから。母乳がいいよ。絶対。」
といい
私の食べる食事全部に気を遣ってくれた。

今思うと母には大変申し訳ないが、当時私はそれが全く面白くなかった。
私が母乳製造機にでもなったような気分だった。

私の努力が足りない?めっちゃ痛いのに!めっちゃ眠いのに!ミルクを飲むと赤ちゃんは機嫌良くたっぷり寝てくれる。

「ミルクでいいじゃん!!」
私はわぁわぁ泣いた。
ただでさえ帝王切開だったのだ。
自然分娩とか母乳とか知らないよ!!

完全なる産後ノイローゼである。

「お母さんははじめっから母乳だったの?」泣きながら私は聞いた。私は3人きょうだいの1番上である。

「そうよ!」と言ってから
母はちょっと考えた。
「そういえば、あんただけミルク飲んだわ。」

もうサイアクである。
母乳が絶対いいと言っておきながら
私だけミルク飲んでると何故言える?私は荒れに荒れた。

「ミルクでいいよ!」自己肯定のためにも叫びながら、私は同時に自分に呆れた。

どっちでもいいと思ってたけど、
泣き喚くほど「母乳」に憧れる自分を感知したのだ。

1月ほどこのような母娘の攻防が続いたのち、母乳がサクサク出るようになった。

私は気が落ち着いたので、同時期に子どもを出産した友達に電話して、この話を聞いてもらうことにした。

驚きである。

友達の話は全く逆だった。

お母さんがひと月の間体重が増えない孫を心配して
「ミルクでいいよ!」
と言い続けて
友達は
「絶対あきらめない!絶対母乳でる。出してみせる!ミルクなんてやるものか!」
という1月を過ごしていた。

あまりの真逆ぶりに
私と友人は
スッと我に返った。

これは産後ノイローゼである。
母乳でもミルクでも
本当にどっちでもいいぞ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

先日偉いお坊さんのお話を聴く機会に恵まれた。

70代くらいじゃないかなとおもう。

お坊さんはお話の合間に、アイロンのしっかりかかった美しい真四角の白いハンカチで時々鼻を抑えられ、このようなことをおっしゃられた。

「ちょっと失礼します。60ごろから花粉症になりましてね。母乳で育つと花粉症にはならないと聞いて私は自信はあったのですが、どうもあれはウソですなぁ。」

会場はほっこりとした空気に包まれた。

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