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オアシスがつなぐ道

空海展に行ってから唐ブームの最中にいる。

以前読んでいた小説の続きを読んでいる。幾年か経っているので登場人物が思い出せないがそのまんま読んでいる。

長安は当時世界最大の都市だったので
長安を目指して、世界各地から陸、海を伝って人が押し寄せる。

西から訪れるものが通る陸の道には砂漠を通るものもある。
交易、人の行き来の要所としてオアシスが機能する。

砂漠のオアシスでなくとも、交通の要所は機能的にオアシスである。

長安に続く道はこのような小さな街の連続が支えている。

この小さな街にはさまざまな人が訪れる。目的も、行き先も、身分も、持つ技術、売る商品もバラバラだ。ここでしばらく次の目的地に旅立つ準備をするうちに、このバラバラな人達は互いの違いを発見し、何かを教えあい、何かを交換する。それがなにかはわからない。

無意味なようなこの交換の連続が
産み落としてゆくものはやがてその地で、そして運ばれた先の地で文化となる。

1つの路地裏文化は
1つのオアシスである。
私達はオアシスの誕生をみた。
オアシスの恵みを楽しみながら
その働きを知った。

何人もが自分たちの手で
オアシスをうみ始めた。
うまないものも今それを
喜び楽しみながら一緒に
育てている。

オアシスを行き来するこの先には
いったい何がうまれるのだろう?

オアシスは増えてゆく。
オアシスの先でも
オアシスをうむものがうまれる。

路地裏文化がいったいどれだけ
広まっていくのか
どんな素敵な変化をとげるのか
もう誰にもわからない


誰にも頼まれたわけでもないのに
何にもない砂漠に
オアシスを作るんだと
1人木を植え始めて諦めなかった
人物が、
今朝
人が聴こえてくる人々の歌に
木を植え続ける手を休めて
顔をあげて、周りを見渡し
自分の予想を遥かに上回る
とんでもないことになっているのに
呆然としている
呟きをみた。

こっちのほうが驚いてるよ。
とみんなが歌ってる。

嬉しいことだなぁ。

物凄い魔法をみせてもらったよ。

これ以上のことはなんにもしなくていいと思う。
元祖オアシスを守りつづけることだ。
交易の人が訪れて、その物語をまた誰かに伝えてくれる。
守り続けることは、これはこれで途方もない忍耐を要求される。果てがないのだから。厳しいがやりがいはある。そこに存在することに意味がある役目だ。きっとやれるんじゃないかな。

私はそう思うけれど実際その人が
次に何するか全く想像つかないな。

とんでもないこと
やり始めた人だからね。



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