見出し画像

無口の効果

ぜったいこの人だー!!
と思って付き合って
だいぶんしてから
気がついた。


この人あんまり喋んない。


私といるときは喋っている。

でもお店とかそういうところで
喋んない。

喋んないと相手が勝手に
ジタバタしはじめる。
あわてはじめる。
沈黙に耐えきれず
猛烈に喋りはじめる

まず実家への結婚の挨拶。
私は家族に説明しまくった。


「全然喋んないけど大丈夫だから」
「ただ喋んないだけだから」

それって緊張してるだけでしょ。
みたいなリアクションに
私はあわてた。
リラックスしてても
喋らないんだってば!!


それは私の家族にとっては
信じられないことだった。
私の実家は全員お喋りなのだ。


興味のあることだけ
真剣にきいて
あとは聞いてるフリして
自分の喋りターンを
虎視眈々と狙っている。


聞いてもらうために
聞くふりをする。
それが私の実家のやり方だ。


本当に喋らない婚約者に
父は非常に慌てた。


先に結婚した妹の旦那は
お喋り名人だったのだ。


質問しないとほとんど口を開かない婚約者を前に父は喋りまくった。

めちゃくちゃ可笑しかった。


そして結婚してもこの状況が続く。

「楽しんでもらっている
 のだろうか?」

帰省したたんびに後から父が電話を
入れてくる。

「だから喋らないんだってば。
 楽しんでるから。
 ご飯もお酒も美味しかったって
 言ってるよ!」

この台詞なんべんいっただろう。

しかし父もだんだん慣れてきて
あることに気がついた。


聴いてくれる人発見!!



そう、喋らない人は
なんぼでも聴けるのだ。

かくして父は夫の到来を
いつも今か今かと待っている。


最悪なのは旅行の話だ。父は



歴史年表をつくりやがる。



それに加えて父は


参考文献も出してくる。



スライドショーみたいなのが始まる。



酒を飲みながらじっと父の話を聴いてくれる夫をみて
母と私は大変嬉しい。
(聴かなくていいから)
父も嬉しい。
(聴いてもらえるから)
夫はどうだかわからない。


帰る時には
父は夫にそっと手渡す
「興味あるかどうか
 わかりませんが、
 これ良かったら。」


課題図書だ。
付箋びっしり。

私は絶対読みたくない系。

次に帰省するまでに、
夫はこれを読む。

でもまぁ、たまに私に
「お父さんに送ったら?」
と本を数冊渡してくるので
嫌ではないんだろう。


次に行ったとき
父は嬉しそうに
夫が送った本の感想を述べて
その本に関係してそうな
おすすめの本を数冊出してくる。

また父が喋る。


エンドレス!


昨日両親が旅行から帰った。

頼んでたお土産を
受け取りに行かなくちゃね!


父の相手は頼んだぜ!夫!笑



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?