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無題PART13仲人ブームとその後

ボスの登場で会社は面白いように大きくなった。仕事もそれまで考えたこともないような大掛かりなものに挑戦し続ける。

もとからいた社員たちもこの男のことがすっかり気に入ってしまった。

いつしかこの会社の社員たちは結婚することが決まると皆ボスに仲人になってもらうようになった。


そこから何年経ったかわからない。
とにかく夜子が勤めた頃はこんな光景がよくあった。

「おうい。エミコー。どやな。元気にしとるか?」
「そうかそうか。んなら良かった。」
「ところでよー。おまはんのところの旦那はいったいどうなってる?」
「また来とらんぞ。遅刻遅刻。」
「ちゃんと起こしてやってくれよー。」


「なにい?この頃あいつ家帰っとらんのけー。え?帰っては来てる?ああ遅いのか。大丈夫大丈夫。今正念場よ。」


夜子は彼氏もいなかったけど、
将来の旦那にこんな電話をかけられるのは嫌だと思い、
事務員の朝子と、海外挙式について日々研究した。

朝子は彼氏がいたけど、本社にいたのでやばさ満点だった。

ボスは付き合ってるだけでも、本社に行くたびに彼氏から朝子とのデートなどの話を仕入れて帰ってくるのだ。

朝子は計画通りオーストラリアで挙式した。


夜子は結婚が決まったとき、挙式のことを考えると吐きそうだった。
海外挙式は口にする前に義実家に封じられたのだ。

夫となる人の会社は夜子が知らないまともな感じの会社みたいだった。
ボスがお酒を注いで回ったら大変なことになる。

義実家、旦那、旦那の会社の人間全部取りこまれて一生平和に暮らせない。

夜子は退職してから、挙式することで会社の人を一切招待しないことにした。

しかしどういう話の流れか、婚約時に一度だけ三人で食事することになった。夜子の婚約者は無口だったので、夜子は「よし!」と思った。

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