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”胃潰瘍で手術”の意味

昔、患者さんへの問診で「胃潰瘍で手術した」ということを聞いたら、家族に本当に胃潰瘍かどうかを確かめろということを当時のローテートしていた外科の先生に教わった。

昔は胃癌であっても、医師は患者本人や家族の意向で告知せずに、胃潰瘍と説明して手術することがあったためである。
その場合は患者家族はその事実を知っているので、正直に話してくれる。
(患者本人にいないところで聞き出さなければならない)

現在はそのようなことを気にする必要はほとんどなくなった。

その理由は
・10年以上前から少なくとも手術、化学療法を行うにあたり、癌の告知は前提条件
 となった。
・胃潰瘍は薬物(プロトンポンプ阻害薬、H2拮抗薬)の発達、ピロリ菌除菌治療
 で手術しなくても治る疾患となった。
 (胃潰瘍による穿孔が大きく、腹膜炎を起こしていたら緊急手術になるぐらい
  で、穿孔部も小さければ保存的加療で治る)

問診でも患者の話す内容から時代背景を読み取り、医師は事実を確かめることが求められる。

事実と真実は違うのである。


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