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クリニカルイナーシアとは?

Clinical Inertia(クリニカルイナーシア:臨床的惰性)という言葉はご存知でしょうか。


忙しい外来で、治療目標が達成されていないにも関わらず、いつも処方している薬をそのまま同じ処方をしたり、惰性的に方針を決めたり、検査・治療を先延ばしにすることをいいます。
炎症性腸疾患患者さんの治療ではTreat to Targetという言葉ができており、治療目標を定めて適切なタイミングで検査や治療介入を行うことが求められています。
炎症性腸疾患だけでなく、このようなクリニカルイナーシアは糖尿病や高血圧のような生活習慣病関連の診療、精神科診療で起こりやすいといわれています。

もともと人は行動経済学的に現状維持を好み、薬を変えて悪化した場合に患者さんからの信頼を失うことになりかねないので、薬剤は変えたり、減らしたりすることが困難です。それが現代の医療におけるポリファーマシー(多剤内服 特に、精神科医療において問題となっている)と関係している可能性が高いわけです。

このクリニカルイナーシアにならないために、以下のことを気をつけています。
・予め取得できるデータは閲覧しておき、治療方針を想定しておく
・説明する内容も想定しておき、カルテ記載に手がとられてないようにしておく

外来は時間との戦いであり、その時間的余裕をできるだけ確保し、患者さんのキャラクターに合わせてどう説明するかを想定することが大切だと考えます。





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