見出し画像

あえて数字からおりる働き方:書評

今回、読んだ本が非常に有益だと思ったので、簡潔に書評にしたいと思います。

この作者の尾原さんは、
数多くの有名企業(マッキンゼー、Google、楽天など)で働き、特に有名な仕事としてはドコモのiモードの開発が挙げられる。
また、書籍もたくさん出版されており、ビジネス系では非常に有名な作家です。

この中で重要だと考えた部分を3つ取り上げたいと思います。

1.abduction(アブダクション)

帰納法:数学的帰納法で知っている方も多いかと思いますが、具体的な複数の事実を積み重ねて1つの真理を導く方法

演繹法:原理原則に基づいた抽象的法則から具体的なものごとを捉える方法

アブダクションはこの帰納法と演繹法を繰り返す、具体と抽象を繰り返す思考法です。そして、ある分野で成功している概念を一度、抽象化(原理原則)し、そこから他の分野で具体化/転用する方法です。
例)
・エルメスは馬具メーカーでしたが、丈夫/高級な革製品というように抽象化し、
 その原理・原則をバッグやベルトなどに転用している。
・ネスプレッソは、交換部品で利益をだすプリンタービジネスを転用したサービス
 (本体は安く、カプセルコーヒーで利益をだす)

既存ビジネスの核を見つけて抽象化し、他の業界に転用して新ビジネスを生み出すのがアブダクションであり、コンサルティング会社はこの方法を採用している

2.人的資本主義

資本主義社会において、いままでは「お金」や「コンテンツ」「事業」がメインでした。しかし、個人の力が強くなり、「人的資本主義」の時代へと移行しつつあると作者は書いています。

「人的資本主義」とは、信用信頼で成り立ちます。
信用:信用力スコアは世の中には既に多くあり、例えばヤフオクの評価点やクレジットスコアが有名ですが、職業などもローンを組む時に必須であり、それも信用スコアの一種だと思います。
この信用力が高いと、低金利でお金を借りることができたり、airbnbのようなサービスもこの信用点で見知らぬ土地での宿泊を可能にしています。

信頼:「この人でなければ」「この人なら」という付加価値であり、差別化につながる価値です。

現代社会ではインターネットやSNSの発達で、個人の信用/ 信頼を所属する企業や職業、年収以外の方面からも評価可能であり、それらが発達することで疑うコストが下がり、人と人がつながりやすくなっています。

3.好きなこと、楽しいことが仕事になる

これは理想論ではなく、逆に好きなこと、楽しいことを仕事にしていないと、アウトプットで負けてしまうことを意味します。
なぜなら、楽しいことを仕事にしている人は、長時間集中をして仕事をしても苦ではないからです。そして、”楽しいことが得意なこと”になり、それが”世の中(誰か)が必要としているもの”の輪が重なったときに、多くの対価をもらえる世の中になるのです。
もちろん、働き始めた頃は、お金を稼ぐだけで精一杯だと思います。
その仕事の中でも数多くある中で、特技を見つけてその幅を広げていき、徐々に生きがいの「ライフワーク」比率を増やしていけば、「好きなことだけで生きていく」状態になれると著者は書いています。
私も大学病院に勤務するまで教育については興味がありませんでしたが、教えることで学生の反応をみるのが面白くなり、授業の工夫につながり、いまでは一つのライフワークになっています。

教育はもとから好きな仕事ではなく、与えられた教育という仕事を好きな仕事に育てることができたと思っています。
常に自分が楽しめる角度を探し続けることが重要かと思います。

もちろん、楽しいことが常に続くものではなく、好きなことをするためには嫌なこともしなければならないのが仕事です。
このときに、「反省はする」が「後悔はしない」との考えは気持ちを落ち着かせてくれます。なぜなら、「後悔」はストレスや不安だけを増やし、何も前に進みません。「反省」は物事を熟慮し、次に進むべき方向を示してくれます。

与えられた仕事を、好きで楽しい仕事に育てる

最後まで読んでくれてありがとうございました。
興味があれば、本を読んで頂ければ幸いです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?