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Refeeding症候群

Refeeding症候群とは聞き慣れない名前だと思うが、日常臨床においては遭遇することが少なくない。


簡潔にいうと、

低栄養状態の人が栄養摂取または急速な栄養投与を行われて死亡する可能性もある重篤な症候群

である。

歴史的にもこの症候群は知られており、
・兵糧攻めで飢餓状態の兵士に食事を与えられた後に死亡した
・太平洋戦争末期に、投稿した日本兵にも認めた
 引用文献:M A Schnitker et al;Ann Intern Med.1951 PMID 14847450

注意したいのは、
・神経性食欲不振症(過度のダイエット継続中)
・アルコール依存症
・担癌患者 
など、慢性的な低栄養状態に陥りやすい人々だ。
消化器内科では上記疾患を診療することもあるが、これらの患者には肝機能障害が併発していることも多く、他科からのコンサルトで疑う症例も多い。

【作用機序】
急速な栄養投与によるブドウ糖、電解質、ビタミン、水分などの細胞内への移動
から低リン血症をきたし、心不全、心停止を引き起こす可能性がある。

【臨床対応】
病歴から慢性低栄養状態であることが予測できることが多いと思う。
るい痩状態(浮腫・心不全)であれば疑い、採血検査で低アルブミン、低電解質(K、Ca、Mg、P)をチェックし、この症候群があることを頭にいれて栄養プランを考える。

【治療方針】
・ビタミンB1またはマルチビタミン製剤の投与
・栄養補給は5-10kcal/kg/日ぐらいの量で開始していき、徐々に増量する
・落ち着くまでは心電図モニターでモニタリングかつ採血検査で経過をfollowする

栄養については医師国家試験や専門医試験でも出題が少なく、学ぶ機会もほとんどないが、日常臨床においては非常に大切であり、学びやすいテキストと食事のエビデンスが満載の書籍を挙げておく。


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