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ガソリンスタンドがイケア効果を活用してセルフ洗車の付加価値を高める方策とは

1.イケア効果とは?


 近年、行動経済学者の間で注目を集めている「イケア効果」は、同じものであっても自分で作ったものの方が、より価値があると感じるという心理的な傾向を指します。

 イケアの家具は、購入後に顧客自身が組み立てる必要があり、その過程で達成感や愛着を醸成させ、結果として家具の価値を高く評価するようになることから、このように呼ばれます。

 今回の記事では、セルフサービスのガソリンスタンドが、イケア効果を活用して洗車収益を拡大させる手法をご紹介します。

2.イケア効果の実験

 アメリカの行動経済学者ノートン、モション、アリエリーの3人は、イケア効果を検証するために、以下の実験を行いました。

 実験の参加者をランダムに2つのグループに分け、一方はイケアの箱を実際に組み立て、もう一方は組み立てませんでした。その後、両グループにその箱を手に入れるために払ってもよいと思う金額を尋ねました。

 その結果、組み立てたグループは平均78セントを支払ってもよいと答えたのに対して、組み立てていないグループは平均48セントと回答しました。つまり、自分で組み立てた箱の方が、組み立てていない箱よりも約60%高い価値があると評価されたということです。

「戦略も箱も自分で組み立てることが大事。人任せにすればまいねぇよ」

 この「イケア効果」は、以下のようにマーケティングやビジネスの様々な場面で活用されています。

3.イケア効果のマーケティングへの応用

  • ホットケーキミックス
    アメリカの食品メーカーは、水で溶いて焼くだけのホットケーキミックスに「新鮮な卵を混ぜる」という一手間を加えたレシピを提案しました。その結果、消費者は卵を加えることでより美味しく焼けると感じ、売上が大幅に向上しました。

  • プラモデルやパズル
    プラモデルやパズルは、購入者が自分で組み立てたり、完成させたりすることで、愛着が湧き、完成品を購入するよりも高い満足感を得ることができます。

  •  DIY
    DIY製品やワークショップは、消費者が自分で作り上げることで、達成感や充実感を得ることができます。

「手のかかる子どもほど可愛いのと同じで、手間をかけたホットケーキは価値が高いのさ。程度問題だけど。」

4.セルフ洗車におけるイケア効果とは

 セルフサービスのガソリンスタンドで、顧客が自分の車を自分で洗車する行為は、まさにイケア効果の好例と言えるでしょう。自分で洗車することで、以下のような効果が期待できます。

  • 愛着:自分で手をかけた分、車への愛着が深まります。

  • 達成感:洗車を終えた時の達成感は、洗車後の車の価値を高めます。

  • 節約:有人洗車に比べて費用を抑えることができます。

  • 運動:洗車という運動を通して、健康的な時間を過ごせます。

 このセルフ洗車の体験をより快適に、そして効果的にするためには、適切な道具の選択が重要です。その中でも、洗車用のタオルは特に重要なアイテムの一つです。

5.タオルを使い込む効果

 ガソリンスタンドのスタッフであれば、顧客の車を洗車して、仕上げ作業をする際に、新品のタオルは吸水性が悪く、毛羽立ちもして使いにくいと感じた経験があると思います。そして、ある程度使い込むと、タオルの使い勝手が良くなることに気付きます。

「使い込むことでタオルの価値を高めるのさね」

 セルフサービスのガソリンスタンドで、セルフ洗車をした顧客に対してタオルを販売しているケースがあります。そこで、使い込むほどに吸水性などの機能が高まるタオルを販売することで、顧客は洗車タオルについてイケア効果を実感することになります。

 よって、もともとセルフ洗車にイケア効果が発揮できていますから、タオルのイケア効果が加われば、その洗車自体の価値がより高まると言えます。

 そのようなタオルの素材としては、マイクロファイバーがおすすめです。マイクロファイバータオルは、綿よりも細い繊維でできており、水分をたっぷり吸収し、乾きやすいのが特徴です。タオルの汚れも落ちやすいので、洗ってもすぐに乾きます。

 マイクロファイバータオルには、2種類あります。

  • タオルクロス:タオルの表面が平らで、水分を効率よく吸収します。車の水滴を素早く拭き取るのに最適です。

  • パイルタオル:タオルの表面に毛羽があり、毛羽が絡み合って落ちにくくなっています。車の窓やボディに毛羽が残らないので、拭き上げ後の仕上がりをきれいにします。

 どちらのタオルも、吸水性と速乾性に優れ、使い込むほどに性能が向上します。

6.まとめ

 セルフサービスのガソリンスタンドは、イケア効果を活用した洗車サービスを提供することで、顧客満足度と収益の向上を図ることができます。マイクロファイバータオルのような、使い込むほどに価値を実感できる商品を販売することで、顧客のセルフ洗車体験をより快適なものにしましょう。

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