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情報共有でレジ金過不足を激減させたガソリンスタンドの事例

1.レジ金過不足の対策と課題


 ガソリンスタンド含む店舗ビジネスにおいて、レジ金の過不足は深刻な問題です。従業員のミスや不正行為が主な原因とされていますが、この記事では、レジ金過不足の抜本的な対策について考察します。

 レジ金過不足対策として、現金売上と現金在高を頻繁にチェックしたり、レジ金の過不足分を従業員に自腹で埋めさせたりするという仕組みを取り入れている店舗もあります。しかし、これらの対策には以下のような課題があります。

  • 従業員の負担増加:頻繁な現金チェックや過不足分の自腹負担は、従業員の負担を増加させ、モチベーションを低下させます。

  • 法的リスク:自腹負担の仕組みは、法的なリスクも抱えています。

  • 根本的な解決策ではない:上記の対策は、あくまでも事後の対応であり、レジ金過不足の根本的な原因を解決するものではありません。

 これらを踏まえ、どのような対策が有効なのかを見ていきます。

「どういう対策がいいだべのぉ」

2.チームの生産性を高める要素とは

 2010年、アメリカのノースウェスタン大学が発表した研究結果によると、チームのパフォーマンスを向上させるためには、「心理面」「行動面」「認知面」の3つの観点が重要であることがわかりました。

 中でも、「認知面」はチームの生産性に大きな影響を与えることが判明し、心理面・行動面を重視するチームの2倍以上のパフォーマンスを発揮する可能性があることが示唆されました。

 「認知面」とは、チームメンバーが情報を共有し、意思決定にどのように活用するかなど、チーム全体の知識処理能力を指します。一方、「心理面」はチームメンバーのモチベーションを高めること、「行動面」はチームメンバーの行動や業務管理などの方策を指します。

 この「認知面」に焦点を当て、レジ金の過不足に対応したガソリンスタンドの事例をご紹介します。

「『妊娠』ではなくって『認知面』な」

3.情報共有でレジ金過不足を激減させた事例

 今回ご紹介するガソリンスタンドは、営業時間が7:00~23:00、社員3名・アルバイトスタッフ30名が所属し、1日を通して1~4名がシフトに入って運営されていました。しかし、店を悩ませていたのが、レジ金の過不足でした。

 3時間おきに社員が、現金売上と店内の現金在高をチェックしていたものの、頻繁に差異が発生していました。そして、その差異が発生した事実は社員だけが把握しており、アルバイトスタッフは知りませんでした。

 そこで、店長はスタッフの休憩室に設置されたホワイトボードを用いて、現金売上と店内の現金在高のチェック結果を公開することにしたのです。

 このホワイトボードには、もともとその日の何時から何時までに誰がシフトに入るのかというスタッフのシフト表が貼られていましたが、その脇に以下のような情報が記されました。

7:00~10:00 マイナス800円
10:00~13:00 マイナス5円(累計マイナス805円)
13:00~16:00 プラス10円(累計マイナス795円)

「チェック結果をホワイトボードに書くだけな」

 これによって、スタッフの意識が変化しました。金銭管理に対する意識が高まり、お金を扱う責任感を持ち始めたのです。

「自分が担当していた時間帯にレジ金が減っていたなんて…」

 ホワイトボードに記された赤裸々な真実が、スタッフたちの心に突き刺さります。この情報共有によって、レジ金の過不足は激減していきました。

4.まとめ

 ガソリンスタンドにおけるレジ金過不足は深刻な問題であり、単なる管理強化では解決できない根深い課題が存在します。

 そこで重要となるのが、チーム全体の知識処理能力を高める「認知面」に焦点を当てた対策です。

 本記事では、情報共有を徹底し、レジ金の過不足をホワイトボードで可視化したガソリンスタンドの事例を紹介しました。レジ金過不足は、ガソリンスタンドに限らず、多くの企業や組織で発生する問題です。この事例を参考にレジ金過不足を撲滅し、より健全な組織運営を実現していきましょう。

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