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読書感想会 2023/08/15

今日、私が発表させていただくのは、
日本昔話 ~ 笠地蔵 ~ です。
一度は話を聞いたことがある人も多いと思いますが、
あらすじを話させていただきます。

むかしむかし雪深い山奥に
おじいさんとおばあさんが住んでいました。
もうすぐ正月を迎えるというのに
おもちすら買うことのできない状況だったので、
おじいさんは自家製の笠を売りに
町へ出かけました。

おじいさんが地蔵峠の前を通って町へ向かうと、
地蔵の頭の上に雪が積もっていたので
雪を払ってあげました。

町に着いたおじいさんは笠を売り歩きましたが、
まったく売れず、仕方なく笠を持って
家に帰ることにしました。

帰りに地蔵峠の前を通った時、
また地蔵の頭に積もった雪を払って、
頭に雪が積もらないように、
売れ残った笠と、おじいさん自身の手ぬぐいを
かぶせてあげました。

そしてその夜、
おじいさんとおばあさんが寝ていると、
何やら物音が聞こえ、
外に出てみると、
そこにはたくさんの贈り物が置いてありました。

こうしてふたりは幸せな正月を迎えることができました。

私が幼少期にこのお話を聞いた時、
心優しい行いをすれば、
見返りがあるのかな?
と思っていました。

しかし、大人になった私が読み返して思ったのは、
寒さを気にして、笠と自身の手ぬぐいをかぶせた『行動』
そして、その行動に至った『想い』がこそ、
”豊かな心”であり、
それを、たくさんの贈り物=豊かなもの として
伝えてくれているのではないかと思いました。

なぜ、大人になって読み返した今、
贈り物が豊かなものの
比喩なのではないかと気付けたのか、
考えてみました。

きっと、何が良いことで、何が悪いことなのか、
とても寒い時や、かじかんでいる時のつらさ、
寒さを凌ぐために笠をかぶせてくれたことへの感謝、
貧乏でひもじい環境を想像した時の気持ち、
自分が貧乏であろうとなかろうと、
思いやりがあるということ。

これらの体験によって感じてきたことや、
考え方や想像によって補われた部分も含め、
豊かなものであり、
そのひとつひとつを大切なことであると
意識しだしたからこそ、
この比喩に気付けたのではないかと思いました。

豊かさとは、満ち足りていて不足がない、
という意味で、たんに良いことと
感じることができると思いますが、
そこには、悪いことや、つらさ、厳しさ、
痛みや、悲しみといった、負のイメージが
できそうなことも含め理解をしているからこそ、
豊かさへと繋がっているのであり、
ひとつひとつのことを大切にしていきたいと思う
その心こそ、豊かな心なのではないか?と思いました。

今回はおじいさんの気持ちや行動から
感想を発表しましたが、
おばあさんについても、
寛容さについて読み解いていけそうなので、
また発表したいと思います。


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