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双子座流星群
雲一つ見当たらない。
双子座流星群が見れるとニュースで知り、多少の寒さを感じながらも家から一番近くにある池まで歩いた。
静かだ。
誰もいない道路を眺めるのをやめ、空を見上げる。
見上げた時、鼻からわずかに吐いていた息が一瞬止まると同時に、背中の方から鳥肌が立ちつつ、大きく息を吸う。
輝く星々を浮かべた宇宙の広大さと、地球の今この地に立つ自分の小ささを感じた。
静けさと暗さと美しさに浸りながら、数秒か、数十秒か経った頃、すぅーっと明かりが灯って行くように思考が流れ始めた。
今私が見ている星の輝きは、何光年も離れたところから時間をかけて届いているんだよなぁ。
留まっているように見える星も、あの流れ星も。
だとすると、時を同じくしてその星々は今どの辺りにいるのかな?
もしかすると今はもう存在していない星もあるのかな?
そうだとしても、私には今、間違いなく星の輝きが届いている。
ライオンキングの夜空の星を眺めているシーンで、主人公シンバの言った台詞がある。
「誰かがこんなことを言ってた。
死んでいった王様達が、俺たちを見守ってる。」
今きっとあるであろう星からも、無くなっているかもしれない星からもちゃんと輝きは届く。届いている。受け取っている。
同様に、今生きている人々の想いも、過去に生きていた人々の想いも、それぞれが星の輝きのようにあって、私たちにはきっと届いているんじゃないかな?
想いは目に見えなくても、私たちに届いていることを、私たちはちゃんと知っているんじゃないかな?
私は一人一人の想いや、星の輝きや、冷たい風や、風になびいている水面から受け取るものを、忘れず大切にします。と、そんなことを双子座流星群が見える空と自分に誓いながら、視線を道路の方へ落とし、家路に着く。
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