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超ミニアーチ橋&大きくて立派なアーチ橋

久しぶりの石橋探訪で出会ったのは、超ミニアーチ橋と大きくて立派なアーチ橋の2つ。
 
 387号線を通る度に気になっていた「大畑橋」の看板。

 どこの川があるのかと思いながら、車を降りて探し出そうとしたところでビックリ!
 
 すぐ目の前にあったのは、小さな溝に架けられたとても小さな石橋。

  道路から個人のお宅に入る所で、用水路をまたぐために架けられた極めて小さなアーチ橋。
 
  長さが1mにも満たないなんて、今まで見た中で最小の石橋だ。 明治期に架けられた橋で、大畑さんという人が作ったからこの名前らしい。  

 それでも、輪石の部分に、見えるだけで5個の石材をアーチ形に組んであるので、歴としたアーチ橋だ。  

 輪石の端の下にもさらに石材が隠れているような感じなので、全体としては見た目よりもう少し大きなアーチ構造のようである。

 幅が2m程度だが、左右から見た時の石材の大きさが違うため、2mの石材を5本組んだだけという造りではなさそうだ。

 この程度の大きさならば桁橋でもよかっただろうに、わざわざアーチ構造にした訳を知りたい。 


  次に訪ねたのは、387号線から少し脇道にそれた所に架かる「櫛野橋」。

 387号線からは見えないため、あまり大きくない橋を想像していたら、実物を見てこれまたビックリ! 

何と大きくて堂々とした佇まい。

 端幅も5mあり、橋長に至っては38mもあるというから、さっきのミニ石橋とは比べものにならないくらい立派な石橋だ。

  こちらは、車も通る普通の道路を渡す橋として、見事な現役だ。

 横側から見ると、大きさをそろえて一つ一つの石材を切り出し、精巧に組み上げていったことが分かる実に丁寧な造りをしている。

 橋全体を支える輪石もきれいな曲線を描いており、実に見事だ。

   橋が渡る谷もけっこうな深さがあり、基礎のところを注視して見ると、かなり苦労して基礎を組んだであろうことが伺える。

  欄干はコンクリート製のようにも見えるが、親柱は石材でかつては意匠が凝らされていたことが伺える。

 今は、車でもぶつかったのだろうか、一部欠けてしまっていたところが残念だ。

  欄干はやや低く、川を覗き込むと、上半身は完全に橋から出るため、落ちそうで少し恐かった。

 あまり高さがないのは、欄干も元々石材でできていたのかもしれない。  

 欄干下には、水抜き穴もしっかりととられていた。

 欄干上部の曲線や、欄干下の出っ張りもきれいに面取りされて曲線に仕上げられているのが目を引く。

    橋の大きさもさることながら、作りの丁寧さや細やかさに、この橋へかける当時の人たちの思いが垣間見えるようである。 

  訪ねた2つの橋とも、今なお普段の生活にしっかりと活用されている。  100年を超えても、ちゃんと現役で使えるなんて、石橋だからなせる業だろう。
 
  古の人たちの技も素晴らしいが、後世につなぐ思いにも感心させられる。 

 だれかではないが、「実にいい仕事してますね」と言いたくなる石橋探訪であった。                                                           

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