西加奈子『わたしに会いたい』を読んだ

『わたしに会いたい』西加奈子


わたしは怒るのが苦手です。
だからフェミニズムを勉強し始めて「女性も怒っていい」と知ったときは嬉しかったのと同時に、女性が不当に扱われる出来事を目にすると「わたしも怒りを表明しなくてはならない」というプレッシャーがかかるようになってしまった。

そこで、フェミニズムがどうとか差別がどうとかの前に、怒ることが苦手でしんどいわたしは「とりあえず、怒ること、それを表明しなければならないと思うことはやめよう」って決めた。
それだけで心が楽になった。

わたしが救えるのは世界中の人々ではない。まず自分自身や子ども、そして身近な家族や友人たちを大切にすればいい。そう思うようにして、心が落ち着くまではフェミニズムの本を読んだりするのを休憩しようと思ってた。
そこに『わたしに会いたい』の発売日がちょうど来てしまった。

8編の短編小説、なかなかにフェミニズム色が強かった。
誤解しないで欲しいのは「だからしんどかった、読みたくなかった」ということではなくて、タイミングがタイミングだったので受けた衝撃がかなり重かったということだけ。

読み終わって、かなり重い衝撃を受けながらも、わたしはやっぱり嬉しかった。
ここまで赤裸々に、生々しく、怒ってくれる人がいる、と。わたしにはここまでの力強さも勇気もない。でも同じ女性にこんなにも強くて頼もしい人がいる。

西加奈子さんの作風は昔から「どんな人間でも生きてて大丈夫!」って背中をバンバン叩きながら励ますようなイメージ。それが今回女性にフォーカスが当たっただけのこと。
今回も背中バンバン叩きながら、肩をがっちり組んで「大丈夫、わたしらがおるで!」って言ってもらってるような、そんな心強さ。

わたしはこれからも怒るのが苦手な人間で、それを表明することも滅多にないと思う。でもフェミニズムの勉強は続けるし、世界はより良くなっていって欲しいと心から思ってる。
わたしはわたしなりのフェミニストになる。
最近は、フェミニストっつったって「女性だけの味方」でいたいわけではないし、差別をしない人間でいたいって気持ちのほうが近い気もするけど、まあそれもややこしくて難しい話。わたしは〇〇になるって名前を無理やりつけるのも違うなあと思うので、わたしはわたしが思うように生きる、それだけ(笑)

もうちょっと短編集についての具体的な感想書かんかい!と思った方。わたしも同じことを思っていますが、全然書けないので許してください😂😂
とにかく、西加奈子さん生きててくれてありがとう!
これからもわたしらの背中バンバン叩いて「あんたのままで生きててええんやで!」って教えてください💕


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