見出し画像

だんじき

2023年11月30日 20:00頃
アルバイト先の焼肉屋で食器を洗っている時にふと思った。

"あと4時間で今年も残り1か月か"

せっかくだから、12月は今までに挑戦しなかったことに挑戦しようと思った。

12月挑戦の相場と言えば断食しかない。

そう思い、1週間断食をすることに決めた。
一身上の都合により、1週間ネタ合わせ・ライブ等が無い為、飯無し生活にうってつけの週だった。

日付の変わった12月1日から断食を始めた。
1週間、水だけで過ごそうと決めた。

12月1日 1日目
49.4kgでのスタート。

断食をするには心許ない体重でのスタートだった。
断食後と言っても誰にも怒られないような体重からスタートした。

1日目の夜には早くもお腹が空いたなという感覚になった。
だが、あと6日ある
そう思えば思うほどお腹が空いてくる。
病は気からと言うが、その状態だった。

今までにも1日何も食べない日はあった為、まあ数日なら大丈夫だろうと思っていた。
だが、これが1週間となると話が変わってくる。

アルバイト先に断食をしたことがある社員さんがいた。
ちなみに断食とは言わず、ファスティングと言うらしい。
お洒落な言い方だ。
断食だと山奥の修行僧のイメージがあるが、ファスティングだと丸の内OLのイメージになる。
だから僕も右へ倣えでファスティング派になった。

その社員さん曰く、ファスティングは本来準備期間を経てするものらしい。準備食なるもので体を慣らして最初は3日間だけ行い、回復食に繋げるそうだ。

だが、僕は思い立った日からいきなり絶食をした。

それだと流石に流石すぎた。

初日からエネルギー切れを起こして、アルバイト終わりの電車で倒れそうになった。

これだと、あと6日持たない。

社員さんからファスティング中は、酵素ドリンクとスムージーで耐えると良いとお伺いしていた為、水だけ生活を早々に諦め、固形物を食べない1週間に名称を変更した。

2日目以降は、1日3回摂取するたった30mlの酵素ドリンクだけが、1日の楽しみになっていた。

1日目が終わり、体重は48.7kgとなっていた。

痩せることは多くの方にとっては良きなのだろうが、僕の場合は減れば減るほど死活問題となってしまう。

12月2日 2日目
この日も勿論お腹は空いていた。
目的なく、単に思いつきで始めたことをすでに後悔していた。
何度も、もう食べようと思った。
だが、ファスティングをすると決めた以上続けるしかない。

この日は17:00-翌5:30までアルバイトをした。
さすがに、ファスティング中に焼肉の匂いは拷問でしかなかった。
焼肉屋でアルバイトをしていることをしっかりと後悔した。

何度も何度も残りの日数を指折り数えた。
まだ2日目だ。あと5日もある。
この頃からずっとしんどいでしかなかった。

2日目が終わり、体重は48.4kgだった。

これだけしんどい思いをしているのに、たったの0.3kgしか減っていなかった。
体重を減らすことが目的ではなかったが、せっかくしんどい思いをしているのだから、せめて体重だけでも変化がないと何も楽しめないと思った。

12月3日 3日目
本来ならこの日は日曜日のため、毎週更新をしているこのnoteの更新日だった。
だが、全く頭が回らず文章を書く元気が皆無だった。
毎週投稿ができないほどに弱々となっていた。
元も子もないことをしていた。

この日も17:00-翌5:30までアルバイトをした。
一緒にアルバイトをしている同期の芸人が焼肉を食べていても、妬み・嫉みペアしか登場しないぐらいにはこの生活に慣れ始めていた。

トンテントン かいしょー

3日目が終わり、体重は48.0kgだった。

12月4日 4日目
この頃から、YouTubeで普段観ない大食い動画を見始めていた。
食べ物で脳が侵されていた。
デブのそれだった。末期すぎた。

夜、アルバイト終わりに麻雀に行った。
隣のお客さんがカレーを食べていた。
何の変哲もないレトルトカレーがファスティングをしている今なら、すごく美味しそうに見えた。
レトルトカレーを美味しく食べるコツは、カレーを一工夫して美味しくするのではなく、食べる人間の状態を極限にすることだと分かった。
レトルトカレーは加点式ではなく減点式で魅力が出る料理だと知った。

4日目が終わり、体重は47.8kgだった。

12月5日 5日目
この日は相方と会った。
多分、終始この感じだった。

会ってどんな会話をしたかあんまり覚えていない。
1度もボケずに家路に着いたと思う。

1日に何回も時計を見ては、解禁まであと何時間あるかを確認していた。

あと2日が待ち遠しかった。
楽しみなことがあるとそれまでの過程が長く感じると言うが、まんまそれだった。

5日目が終わり、体重は47.6kgだった。

12月6日 6日目
残り2日となった。
ゴールが見えてきたが、まだまだしんどい。
酵素ドリンクとバナナスムージーだけが生きがいだった。

あまり食事に関心がないタイプだと自分では思っていたが、もうこの頃は食事のことしか考えていなかった。
こんなに食べることが好きだったんだな。と新たな一面を発見できた。
そんな発見はいらないから飯を食わせろと思っていた。

もうこの頃には、無人島に3つ持っていくなら?と訊かれたら、即答で朝食、昼食、夕食と答えられるくらいには仕上がっていた。

6日目が終わり、体重は47.4kgだった。

12月7日 7日目
この思いつきで始まった地獄の1週間も残すところあと1日となった。
お腹が減ったの感情はしっかりとあった。
2日目以降はずっと同じような空腹度だった。

最終日は固形物解禁がすぐそこまで来ている為、1番元気だったかもしれない。

20時を超えたあたりからニヤニヤをしていただろう。
アルバイトをしながら、日付が変わるその時を待った。

そして、無事1週間経った。
1週間が終わり、体重は46.6kgだった。

とりあえず、1週間良くやった!!
まじで偉いでしかない!!
ここは一旦、褒めるのが筋であった。

半身浴ってやつに手を出して、本気で体重を減らしに行ったら思ったより減っていた。

体重偏差値たるものがあり、調べてみると偏差値27.5と出ていた。田舎の工業高校でも見ない様な数値を叩き出していた。

さてさて、問題はここからだ。
1発目に何を食べようかな問題だ。

1発目の相場は、お粥などの体に優しいものらしい。

だが、それだとダサすぎる。
こっちは1週間耐えてんだから、
ガツンと食べな勿体なさ過ぎるだろ、

そう思った。

だから、1発目はこれにした。

蒙古タンメン中本

胃袋さんには無理を言ってぶち込んだ。
食べ終わったら、胃が痙攣していた。
生きていることを実感した。

始めた当初は、キツすぎて3日でやめようと思っていた。
だが、言い出した以上やるしかなかった。
誰かに言われた訳でも、目的があった訳でも、体調を良くしたかった訳でもなかった。

暇潰しがてらに始めた。

そして、暇は潰せた。
私生活を犠牲にするくらいに、潰せ過ぎた。

もう一生やらないだろう。
だが、凄くいい経験になった。

ファスティングをしたことにより食べ物へのありがたみを再確認できた。

大切なものは失ってから気付くと言うが、本当にそうかもしれない。

感謝を覚えた僕に今は怖いもの無しだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?