リュックよ、さようなら
10年以上使っているリュックが壊れた。
内部の防水コーティングが、ヘタクソな癖に高貴な顔で食べる丸の内OLのクロワッサンようにポロポロと剥がれるようになった。
「コイツはまだまだやれる、コイツの目は死んでない」と自分(とリュック)を騙して旅路に持ち出しては、帰宅後にクロワッサンまみれの荷物を泣きながら綺麗にする、そんな生活になってしまった。限界である。
Klättermusen(クレッタルムーセン)の「Mimer」というリュック。
当時購入したアウトドアショップの店員さんが「マイマー」と呼んでいたので自分も長らくそう呼んでいたのだが、本当は「ミマー」らしい。5年くらい恥をかいていた。日本で2人だけ、このリュックの呼称で恥をかいていた。
大学時代、カッコいいリュックが欲しい自分は「アークテリクスのarro22」「Supremeの何か」「クレッタルムーセンのMimer」で悩んでいた。
部活の後輩から「Supremeだけはマジでないです」「タックスマンさんスケボーやるんですか?やってるわけないですよね」「その(無印良品で固められた)服装でSupreme、ヤバいです」と言われ、選択肢は即2つに。
アークテリクスのarroはその頃ちょうど流行り始めてる感があり、自分も持ってみたいと憧れていた。しかし後輩は「いやノースフェイスのブタ鼻リュックがどうなったか知ってるじゃないですか」「アークのやつもそうなりますよ」「まあタックスマンさんはその(無印良品で固められた)服装的に流行で陳腐化されたリュックの方がちょうどいいかも知れませんけれど」と言われた。
心が程よく傷付きながら、Mimerに決まった。
Mimerは本当に良かった。原宿のアウトドアショップで試しに持たせてもらった瞬間の「これだ!!!」感は今でも覚えている。とにかくフィットするというか、雑に言えば荷物が重く感じないのである。高かったけれど、即決で購入。店員さんもノリノリで対応してくれた。「マイマ―」だったけど。
それ以降、あらゆる状況で使ってきた。遊びや旅行はもちろん、雨の日の出勤にも頼ってきた。防水機能も他のリュックに比べ完璧なのである。PCも安心して運べる。この防水機能が完全に失われてしまったのがとにかく痛い。
飽き性の自分は、殊更ファッションに関して物持ちが悪い。そのうえ衝動買いも多く、「ええやん!」と思って購入したものはたいてい数回の着用でサヨウナラ…が頻発する。良くない。
でもMimerに関しては10年を突破した。自分的にはすごいことだ。他のリュックに浮気しそうな瞬間もあることにはあったのだが、Mimerの機能性・デザインを超えてこないのである。
そんなMimerともついにお別れ。
今まで本当にありがとう。
雑に使ってきて申し訳ない。
そんなに手入れしてこなくて申し訳ない。
中でアイスコーヒーを爆発させ、ジョージアブラックMimerにしてしまって申し訳ない。
機能性が高すぎる故、謎の小さなポケットに数年間ばかうけを入れっぱなしにしていて申し訳ない。
本当にお疲れ様。責任をもって供養する。
お前がいなくてこれから不安だけど、いつまでも後ろを向いてられない。
次の10年は、コイツと頑張ってみるよ。
Mimerの色違いを買いました。
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