rmmbr_me

※すべてフィクションです。

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最近の記事

10月の終わりにする夜桜の話

素材サイトでいい感じの夜桜の写真を、と思ったけれど、どんなに美しい桜の写真より、これを読んでくださっている方々の思い出に残っているであろういつかのなんらかの桜がきっと私のイメージしているものにもっとも近いだろうと考えたので、桜の画像はなしでいこうと思う。 ここにのこしておきたいテーマはたくさんあって、先に載せたい記事が今この瞬間もいくつかあるけれど、どうしても気になったもう10年以上前の思い出話。よりよって冬の一歩手前で桜の話。 私にとって最も強烈な桜の記憶は、上野公園の

    • 見ているものと見えているものと

      通っていた幼稚園にはカリキュラムというものがなく、ただただ好き勝手に過ごしていた。そんな日々の中で覚えた遊びの一つに「メガネづくり」があった。 「メガネづくり」と言っても、先生が作ってくれた厚紙のフレームに好きな色のセロファンをホチキスで留めるだけ。それをかけると見えるものすべての色が変化して、やがて慣れて違和感を忘れて、外しては目に映るものの色彩の豊かさに新鮮な気持ちになる。シンプルだが幼稚園児の私には結構刺激的だった。 時は進んで小学校低学年の頃、太秦で3Dメガネを装

      • 「MNY TKS!」

        通勤路に新しくファンシーショップがオープンしたことに気づいた。見るからに居抜きだが、前は何の店だったのかまったく思い出せない。 身内が闘病のおり弱気になり「死ぬのは構わないが死んで忘れられてしまうのがあまりにつらい」とよく泣いていた。私は彼の忠実な身内なので、彼の病死後も一日も彼を忘れたことは無い。忘れないのが美徳だと思って生きてきた。 一昨日から急に気温が下がった。そのせいかどうかは定かでないが、テレワークで人の減った今日のオフィスでは舌打ちや腹立たし気に机を閉める音が

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