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「アレなんだよ! アレ!」がなくなるかもしれない? AIが切り開くかもしれない逆引き検索の可能性
こんばんわ。弥生です。
紫陽花が美しい時期を超え、そろそろ初夏になりかかろうかというこの頃。皆さまいかがおすごしでしょうか。
私はあいかわらず、古物市場をふらふら歩きながら、古食器や古雑貨を扱うECリサイクルショップ「えこわっか」を運営しています。
先日市場の仕入れにいって、とある商品との出会いから、逆引き検索とAIについて考えるきっかけがあったので、コラムとして残しておこうと思います。
今回は、ちょびっとだけIT技術のお話が関係してきます。
「ChatGPT」について話していくので、軽く前情報だけお渡ししておきますね。
ChatGPTとは、まるで人間と対話しているかのように質問した内容に回答する対話型のAIサービスです。アメリカのOpenAI社が開発・提供しているサービスで、正式名称はChat Generative Pre-trained Transformer(文章生成モデル)です。学習済みのAIを活用するジェネレーティブAI(生成系AI)の一種で、13歳以上(但し18歳未満は保護者の許可が必要)であればアカウントを作成することで使い始めることが可能です。
株式会社 日立ソリューションズ・クリエイト
https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/column/technology/chatgpt.html
ChatGPTに代表される文章生成モデルについてのお話が関連してきますので、画像生成や動画生成のモデルについては一回わすれちゃってくださいね。
では本題に移っていきましょう!
事の始まりは、市場終わりに「着物にぶっさすやつ!!」と叫んで落札した商品
6/19に参加した、少し骨董よりの市場で、私は一つの商品に出会いました。
カバー写真にも掲載している「着物にぶっさすやつ!」です。
![](https://assets.st-note.com/img/1718886108681-qL7nM5BStw.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1718886153394-erl2sKKmOj.jpg?width=800)
恥を忍んで言いますが、市場で
「着物にぶっさすやつだ!!」
と、本当に口にして、落札しました。
ひょうたんと一緒に携帯したり、友達の家にお酒飲みに行くときに携帯する
コレです。
「友達の家にいったら、コップの一つくらいあるじゃん。わざわざ持っていかなくても…」
なんて思うあなたは、現代病もしくはお大臣病に毒されています!!
お友達の家に行くときにはマイ箸だけではなく、マイ杯までもっていく。
それがお作法!!
か、どうかは知りませんが。
少なくとも明治期に移るまで陶磁器というのは大変に高価なものでした。
そして、明治に至っても、杯を共有して酒を酌み交わすというのは比較的ポピュラーな行動だったらしく、杯洗という、杯を洗うための道具が存在していたくらいです。
![](https://assets.st-note.com/img/1718887798239-slIB5ZNm2L.jpg?width=800)
お酒を飲む器一つを、複数人で回し呑むというのは儀礼的な部分のあったかもしれませんが「お客さん用のコップを用意する」という文化が一般化したのは、最近のこと。
当時の陶器の生産体制などを鑑みるに、遅ければ昭和前期くらいまでは「マイ杯」を携帯する文化が残っていてもおかしくないなぁ…と思っていたりします。
閑話休題。
さて無事に商品を入荷し、ネットショップに並べようとした私は、とある初心者古道具屋あるあるに躓きます。
「名前……なんだっけ……?」
名前がわからないだけで跳ね上がる検索難易度
そう、名前がわからないのです。
私の頭の中では
①帯にさして携帯するもの
②杯・酒器
という、関連ワードと使われ方はすぐにイメージできるのに、商品名がわからない。
落札した後に、骨董の師匠と仰ぐ姐さんに
「着物にぶっさすやつ落とせた!!」と報告するも、商品名が出てこない。
これ何? と古物友達に聞かれても
「着物にぶっさして、お酒飲むやつ!」と説明はできても、商品名が出てこない。
えこわっかはEC販売が主販路なので
「着物にぶっさしてお酒をのむやつ」という商品名では、にっちもさっちもいきません。
私はどういう手を使ってでも、この商品に名前を見つけてあげる必要があったのです。
そこに怯んでいては「ちょびっとだけネットに強い人・弥生さん」の名が廃ります。
さあ!!! 検索!! 検索をするのです!!
でも、どうやって?
そこから私の悪戦苦闘が始まりました。
①画像検索→木杯が一緒に出てきて撃沈
②オークションサイトで「杯」「根付」で検索→通い杯の名称がHit
③ChatGPTに聞く→脇差杯・携帯杯の名称を提案される
④フリマアプリで必死に探す→道中杯の名称がHit
古物商の人が商品を調べるときにやることを全部やりつくした結果、私の手元には4つの語句がやってきました
①通い杯
②脇差杯
③携帯杯
④道中杯
4つの語句を並べれば検索成立の可能性が高くなのですが、マイルールに反します。
このどれを採用するか決断が必要です。
さらなる検証が必要になります!
さあ!
全部の単語を検索して、検索制度が最も良いものを採用するのです!!!
①通い杯→検索結果がバラエティに富んでいるため不採用
②脇差杯→刀の脇差が一番最初に出てくるので不採用
③携帯杯→携帯コップが出てきたので不採用
④道中杯→類似商品と直結したので採用
ということで、無事に「道中杯」という商品名で出品することができました。
ふぅ…疲れた……
逆引きできないネット検索
古民具や骨董界隈の商品を運よく手に入れた時、名前を探すのが一番手間がかかるのです。
画像検索で出てくるレベルに特徴のあるものは、超イージー。
国内販路に記録があれば、超ラッキー。
海外販路に記録があれば、翻訳して円ドル計算。
ちなみに、こんなもんはラッキーの部類です。
画像検索で出てこないと、難易度がちょっとあがる。
裏プリントや、刻印を頼りにメーカーを調べていくことになります。
国内に情報があれば、超ラッキー。
産地国に関する刻印があれば、美術様式や製造技術・国名表記から、だいたいの年代を推定して、情報をひっぱる。
ちょっと難しかったなー!という程度
一番検索難易度が激ムズなのが、産地等の記載がない、今回のような工芸品です。
しかも二次流通(中古流通)がない場合、その多くは正体不明のナニカであるということがほとんど!
必死にネットの海の中で関連語句や、ヒントを足したり引いたりしながら商品を探して、商品知識と検索技術を磨いているのです。
それもこれも「逆引きができないせいだ!!!」と、モーニングコーヒーを静かに味わいながら、脳内で叫んでいました。
でもこれ、検索が苦手な人はいつも同じ気持ちなんだろうな…と思った次第です。
言語モデルAIが切り開く逆引き検索の道
今までは、語彙をたくさん知っていれば、より早く的確な情報にたどり着くことができました。
逆に言えば、語句を知らなければ正確な情報にたどり着けない情報社会だった。それは検索ベースの現在の情報システムにおいて、大いなる弱点でした。
そこを補うのがポータルサイト。
ですが、言葉を濁さずにいうと、専門家が作ったポータルサイト以外は情報を探しにくい!!
ポータルなのにサイト内検索があるサイトに対して
「ド畜生が!! なんで私が欲しい情報をきっちり分類しとかんのか!!」
と、心の中で毒づきながら検索することもしばしば。
でも情報を提供する側と、提供される側のギャップって、縮まらない。
それをITリテラシーがないみたいな言葉で帰結させるのが、どうにもこうにも腹立たしい。
これはシステムの設計上の弱点であって、人の能力どうこうの話だけで終わらせていいわけがない。
逆引きさせろぉ!! 逆引きできるようにしてくれぇ!! 頼むぅ!!
システムの弱点を解決するのは、きっと言語モデルAIに違いないと思うのです。
「たぶん大正時代くらいまで使ってて、帯にさしてある木製の杯で、男性の携行品。この商品の名前って何?」
そう問いかけて、言葉を返してくれるシステムが、平均的に実装できる未来はそう遠くないはず。
実際ChatGPTを使って逆引き検索を試行してみたんですが、結果は少々正解足らず。でも結果は惜しかったなぁって思うのです。
精度さえあげれば、いつかは検索の標準に逆引き検索が搭載されるはず。
そうすれば、きっと私が今まで名前がわからないまま手放した古道具の数々を調べるのが容易になる時代が来るでしょう。
そんな時代を夢見て、今日も古道具を触り倒しています。
技術は知識を超えていく。
そんな学びを得ながら。
……がんばってみたけど、やっぱり乱文凄いなぁ……
ChatGPT君に食べさせて、文章として整えてほしいってお願いしてみようかなってレベルだわん(´・ω・`)……
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